2016 Fiscal Year Research-status Report
イギリス連合王国における横断的資格認証枠組みに基づく大学入学者選抜に関する研究
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15K17375
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
飯田 直弘 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (80578063)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際的資格認証枠組み / 大学入学者選抜 / 多様な学習成果の評価 / イギリス連合王国(United Kingdom) / UCAS / UK NARIC |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イギリス連合王国(the United Kingdom)において国内外の多種多様な資格の比較を可能にする資格ポイント換算システム(UCAS Tariff)の運用の実態と、それを入学者選抜のために利用・参照する(もしくはしない)大学の資格要件及び選抜基準の多様なパターンを生み出す要因を明らかにすることを目的とする。なお、本研究が調査の対象とするのは、イングランド、ウェールズ、スコットランドの大学とする。 平成28年度は、前年度のイングランド調査を踏まえて調査項目を精緻化した上で、ウェールズ(10月・4大学)とスコットランド(3月・9大学)の大学調査を実施し、アドミッション・オフィサー等にインタビューを行った。また、10月には、ウェールズの大学以外にも、イングランドの3つの大学とUCASの調査を実施した。UCASを訪問した際には、2017年に導入される新しいUCAS Tariffの開発担当者にインタビューを行い、改定の経緯や変更点に関するデータを収集した。 以上の調査により、高等教育セクターの競争的環境と大学ランキング、大学の歴史的・学術的背景や選抜性など、いくつかの要因については前年度の調査と同様の結果が得られた一方で、今回訪問したスコットランドの大学では、ポイント換算の妥当性に対して懐疑的である大学が多く、一般的な募集単位でUCAS Tariffが利用されていないことが明らかとなった。また、生徒の進学移動(クロス・ボーダー)に影響を与える要因として、前年度までに明らかになっていた地理的要因の他に、大学進学年齢の違いなどの制度的要因、授業料や大学進学者への政府の補助金に関する財政的要因などが存在することがわかった。 これらの点を明らかにすることは、UCAS Tariffのような国際的・横断的資格認証枠組みのシステム設計や運用面での課題を検討する上で重要な意義をもつ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、ウェールズとスコットランドの大学調査を実施できた。また、イングランドの大学とUCASについても調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、イングランド、ウェールズ、スコットランドの調査結果のまとめの作業に入る。また、必要に応じて補足調査を実施する。
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Causes of Carryover |
現地調査について、1日に2つの大学を訪問調査することにより、1回の渡航における滞在期間を1週間にまとめることができたので、節約できた分を次年度の補足調査に回すことにした(補足調査では、イングランドとウェールズなど、複数地域を調査することを想定して、なるべく多くの予算を確保する必要がある)。また、1回の渡航で複数の研究課題の調査を実施したことや、研究発表を行った学会大会の開催場所が所属大学であったことなども関係している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の補足調査で使用する。
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