2015 Fiscal Year Research-status Report
修学パターンにおける歴史的社会背景の影響ー第二次世界大戦以降のホンジュラスー
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15K17384
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
芦田 明美 神戸大学, 国際協力研究科, 研究員 (30749164)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際教育開発 / 修学実態 / ホンジュラス / 縦断的データ / 歴史的社会背景 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度である本年度は、関連資料の収集、修学パターンの分析作業、国際学会での研究成果発表を実施した。1940年代から70年代後半にかけての国家教育戦略、関連教育報告書、援助機関発行の関連文書、国勢調査報告書、当該国の歴史に関する文書を収集し、歴史的社会背景および教育制度・政策を整理した。修学パターン分析に関しては、構築済みのデータベースを用いて分析作業を実施し、修学パターンと歴史的社会背景つき合わせの分析を行った。分析対象は1950年から85年入学の子どもたち、4065人である。その結果、1980年代から2000年代の子どもたちの修学パターンを分析した結果と同様、頻出上位には好ましい卒業パターンと入学後早期に退学をするパターンが顕著に現れる傾向が見られた。1950年代には退学のパターンが頻出順位一位を占め、二位が卒業パターンであったものの、1960年代以降には卒業パターンが一位を占めるようになる。しかしながら、頻出上位の大半を占めるのは退学パターンであった。 修学パターンと歴史的社会背景をつき合わせて分析した結果、1963年の軍事政権の発足、1969年のサッカー戦争、1982年の民主化といった歴史的なイベントが修学状況に影響を与えている様子が確認できた。また、同国の1961年および74年の国勢調査における教育指標、経済指標との照らし合わせも行った。本分析に関してはさらなる詳細な分析が必要となるため、引き続き実施していく予定である。 本年度の研究成果については、第60回 Comparative and International Education Society:CIESにおいて、英語による研究報告を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホンジュラス国における治安の問題のため現地調査の実施は見合わせたものの、現地での研究協力者による歴史背景資料およびデータ等の収集を実施することができた。また、これまでに収集および構築済みのデータベースを用いて分析を実施した。分析の過程においては、研究協力者とスカイプやメール等を通じて定期的にコンタクトを取り意見交換を行う等して、分析結果の考察に生かした。また、これまでの研究成果は国際学会において発表するに至ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査についてはホンジュラス国における治安の問題を考慮しながら、研究代表者による渡航を検討する。治安悪化により研究代表者が渡航できない場合には、本年度同様、現地の研究協力者によるサポートを受けながら研究課題遂行の体制を取る。今後はこれまでに収集した歴史社会背景資料の整理および読み込みを進めつつ、データ分析を行い、各種資料を有効に用いて分析結果の考察に生かす。また、国際学会における研究成果報告を行うことを目指す。
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