2017 Fiscal Year Research-status Report
修学パターンにおける歴史的社会背景の影響ー第二次世界大戦以降のホンジュラスー
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15K17384
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芦田 明美 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特別研究員 (30749164)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際教育開発 / 修学実態 / ホンジュラス / 縦断的データ / 歴史的社会背景 / 国内比較 / 留年 / 退学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究3年目となる本年度は、昨年度より引き続き関連資料の収集、修学パターン分析、学会での研究成果発表を実施した。分析結果の一例は、以下の通り。 地域特性の異なる首都と地方都市を対象に、修学実態の地域間比較および年代間比較の分析を行った。分析対象は1986-2004年度における対象校計7校への入学者、首都1,662名および地方都市2,388人の計4,050人である。子どもたちの入学年度により1986-1994年度入学、1995-2004年度入学の2つのグループに分け、修学をパターンとして捉え、特に留年と退学の関係に着目して分析した。その結果、退学パターンに関しては地方都市と同様、首都においても入学後1年時や2年時における早期の退学が多く見られた。留年を含む退学のパターンについては、1986-1994年度入学のグループにおいては首都、地方都市ともに頻出3位から確認できていたのに対し、1995-2004年度入学の首都のグループにおいては、頻出6位にまで減少していた。また、その割合は退学者の中の1.1%に過ぎず、多くの退学者が留年を経験せずに対象校での修学を辞めていることが分かった。2つの入学年代グループを地域別で比較すると、首都における退学者の減少が特に顕著であった。全体的に、地方都市よりも首都における卒業者が増え、留年者および退学者の割合が減少しており、修学実態は改善へと向かっている状況が読み取れた。今後も引き続き、さらなる詳細な分析を実施していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究対象国であるホンジュラス国全体における治安の問題のため、現地調査の実施は見合わせたものの、これまでに収集および構築したデータベースの精緻化を行い、分析を実施している。分析の過程においては、研究協力者とスカイプやメール等を通じて定期的にコンタクトを取り意見交換を行う等して、分析結果の考察に生かした。また、これまでの研究成果は学会において積極的に発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査についてはホンジュラス国における治安の問題を考慮しながら、研究代表者による渡航を検討する。治安悪化により研究代表者が渡航できない場合には、本年度同様、現地の研究協力者によるサポートを受けながら研究課題遂行の体制を取る。今後はこれまでに収集した歴史社会背景資料の整理および読み込みを進めつつデータ分析を行い、各種資料を効果的に用いて分析結果の考察に生かす。また、国内外における学会にて研究成果の発表を行う。その後、発表内容をまとめ国内外の学術雑誌への投稿を試みる。
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Causes of Carryover |
本研究対象国であるホンジュラス国全体における治安の問題のため、本年度の研究代表者による現地調査の実施を見合わせた。また、国外での学会発表を予定していたが、スケジュールの関係により参加が叶わなかった。当初計画していた現地調査および国際学会参加にともなう海外渡航にかかる旅費の支出を行わなかったことにより、次年度使用の助成金が生じた。
当該助成金および翌年度請求分の助成金については、今後の現地調査実施および国内外の研究成果発表にともなう旅費に使用する予定である。また、学術雑誌への論文投稿に伴う必要経費に支出する。研究の進捗を考慮し、必要に応じて研究遂行にかかる消耗品や謝金への支出を検討している。
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