2015 Fiscal Year Research-status Report
市場原理に基づく教育改革の成果と変容に関する実証的研究
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15K17389
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
山下 絢 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (80614205)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 市場原理 / 学校選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,市場原理に基づく教育改革の成果と変容を,インタビュー調査と計量分析によって解明するものである。分析対象としては,先行研究において市場原理に基づく教育改革の代表事例として議論されてきた学校選択制に焦点をあてる。初年度は,計量分析を軸として,主として以下の2つの分析を行った。第1は教育の需要サイドからのアプローチとして,児童生徒の視点から,義務教育段階において公立学校選択制が実施されている場合,「どのような保護者が学校選択を行うのか」の検証を行った。すなわち,学校選択主体の問題に焦点をあて,その規定要因を析出するとともに,要因間の因果関係をもモデルに設定しながら計量的に明らかにすることを志向した。第2は,教育の供給サイドのアプローチとして,教師の視点から,市場原理に基づく教育改革に対する意識を,計量的に明らかにした。具体的には,日本においては,教師の属性による学校選択制の支持の有無に関する経験的研究は散見される程度であり,どのようなタイプの教師が学校選択制に積極的であり,また積極的ではないのかに関する分析が行われていない。そこで,教師の属性(教歴年数や大学での専攻など)と学校選択制の支持/非支持の関係を明らかの検証を行った。また計量分析においては,説明変数間の因果関係の設定を可能にする方法(ダイナミクスを考慮)として,カテゴリカル変数を内生変数とする場合のパス解析を採用した。従来のパス解析は,前提条件として内生変数が連続変数であることが想定されているが,本研究のように学校選択行動といった場合にはカテゴリカル変数を設定するために適用できず,そのための方法論を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文執筆は残されているが,文献研究ならびに既存データを活用した計量分を順調に行うことができ,学会口頭発表を2度行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は2回の学会口頭発表を行い,有益なコメントが得られた。頂いたコメントを参照しながら,初年度に行った発表資料の論文執筆を行うとともに,海外への研究成果の発信のための準備を行う。また次年度に行う実証の準備を行う。
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Causes of Carryover |
1000円程度の未使用金額が生じたが,これは洋書購入時の為替変動の影響による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の図書購入費用に充当する。
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