2015 Fiscal Year Research-status Report
中高美術科教員養成におけるモデルを用いた彫刻教育の指導法の研究
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15K17397
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
永江 智尚 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (80742692)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | モデルを用いた彫刻教育の意義 / 指導内容と教育効果の関連 / 教員養成に特化した指導仮説 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究の方針は,研究の第1段階にあたり,「教員養成大学でのモデルを用いた彫刻教育の客観的診断・仮説設定」である。この段階において明らかにすることは,教師の指導(指導内容,指導方法),受講者への効果,これらの関係性である。 教師の指導については,授業の目的と実施内容,指導法,これらの経過について,画像,文書および音声記録を蓄積した。また,受講者を対象としたアンケート(十件法)によっても,受け手から見た指導の経緯が数値的に明らかになった。その結果,モデルを用いた彫刻教育が,彫刻家養成に終始することなく,教員に求められる基礎的基本的な事項に関して有効な指導内容であることが明らかになった。 受講者への効果については,受講前と受講後の2回,筆記テストと実技テストを課し,その結果について十件法の自己評価・他者評価を行った。テストの内容は,基礎的基本的な造形要素の理解や表現力を判断できる内容を課した。尚,授業1回ごとの各受講者の制作過程を記録することや,受講者自身による自己評価及び他者評価も診断内容の考察の一部とした。これらの結果から,教師の指導と受講者への効果について数値や文章を基に統計的に分析し,関係性を明らかにすることができた。ただし,受講者の数(サンプル数)が限られているため,まだ統計的に信頼できる根拠とは言いがたい。次年度もまた,継続的にデータを集積し,検討に活かす。 以上から,基礎的基本的な造形要素に重点を当てた指導法の仮説として,「参考作品の提示とその解説」を取り入れた授業を次年度実践する。具体的には,タブレットによって参考となる作品を提示し,その解説と関連付けて,具体的指導(作品の指導)を行うものである。教員に求められる「基礎的基本的な造形要素に関する説明力(指導力)」をさらに養成することをねらっている。尚,この指導の有効性についても十件法によりデータを収集する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りデータが蓄積され,その分析が行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は第2段階として,第1段階の指導仮説を基に,「仮説検証授業の展開・評価」を行う。
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Causes of Carryover |
文献購入や出張による彫刻作品写真の収集,およびそれらをパソコンに取り込む作業は,当該年度の研究(第一段階)の結果を待ってから取り組むことが適当であると,研究を進めながら判断した。そのため,これらの作業にかかる経費が使用されていない。尚,この作業が実質影響するのは研究の第二段階であるため,当該年度においては研究の遅れなどに支障はない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の第一段階の方針を基に,次年度に文献購入や出張による彫刻作品写真の収集,およびそれらをパソコンに取り込む作業(スキャナー,カメラの購入,取り込み作業の役務など)を行う。
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