2015 Fiscal Year Research-status Report
グローバル社会とのグラウンディングを意図した「理科カリキュラムの統合化」の研究
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15K17405
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
野添 生 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (20751952)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 理科カリキュラム / 統合化 / 汎用的能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、既存の専門分化した理科カリキュラムを、未来の市民としての「個人」とグローバル化していく「社会」との関わりの過程という視座から全体を俯瞰した上で捉え直し、「カリキュラムの分化と統合」を軸に再構築することを通して、グローバル社会とのグラウンディングを意図した「理科カリキュラムの統合化」について論究していくことを目的としている。 本年度は、汎用的能力(グローバルなリテラシー)を兼ね備えた未来の市民の育成を意図した理科教材を開発するための資料収集、及び理科カリキュラムに関する文献資料の収集および文献調査を行った。特に近年のイギリス科学教育の動向として生涯学習社会を射程に入れた視座であるHow Science Works (HSW)とSocio-Scientific Issues(SSI)に関する理論的検討を踏まえた上で、わが国で現在取り組まれている理科授業の文脈上で、汎用的能力(グローバルなリテラシー)を兼ね備えた未来の市民の育成を可能にする理科カリキュラムについて討究した。 その結果、個人的・社会的双方における多くの重要な選択や決定を行うという行為までを活用と捉え、またその際の手立ては従来の理科授業の手立てと区別して考えることが重要であることが明らかとなった。また、その「活用型授業」のカリキュラム上の配置は、教育課程上の前半ではなく、なるべく後半に布置することを基本とし、さらには、よりシティズンシップの要素が強いものほど、後の教育段階に配置する方が効果的であることも明らかとなった。つまり、実践されている「活用型授業」の枠や解釈を拡張しながら、従前とは異なるアプローチ(例えばアーギュメンテーションやディベートなど)により、理科授業を展開していくことが現実的な手段と考えられる。具体的には、これらの研究成果は、科学教育学会における発表を通じて評価を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では「理科カリキュラムの統合化」という視座から、これまで蓄積された授業実践研究の手法を活用して、既存の専門分化された理科カリキュラムを「統合化」の視座から再構築していく計画が立てられており、これらはおおむね予定通りに進展している。加えて、日本科学教育学会年会における発表といった研究成果も得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き、汎用的能力(グローバルなリテラシー)を兼ね備えた未来の市民の育成を意図した理科カリキュラムに関する資料収集や動向調査を行う。また、イギリスに渡航し、授業視察および資料収集などのフィールドワークを行い、調査・分析を推進していく。以上の調査・分析結果をエビデンスとしながら、文献研究により理論的検討を行い、最終的には比較教育学的アプローチと歴史的アプローチの双方から「理科カリキュラムの統合化」に関する知見を得ることを目指していく。
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Causes of Carryover |
データ分析用パソコンの購入を次年度以降に延期したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ分析用パソコンの購入費用の一部に当てる予定である
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Research Products
(1 results)