2015 Fiscal Year Research-status Report
アジアにおける多文化共生に向けたシティズンシップ教育の受容と展開に関する比較研究
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15K17406
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
坪田 益美 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (20616495)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多文化共生 / シティズンシップ教育 / 社会科 / アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は主に、シンガポールへ現地調査に赴き、社会科教育、シティズンシップ教育に関する資料および情報収集を行った。加えて、シティズンシップ教育研究の国際研究大会(citizED)において、イギリス、アメリカ、カナダ、韓国、香港、シンガポールの研究者との情報交換を行うことで、今後のカリキュラムならびに授業実践を分析する観点についての示唆を得た。それと平行して、これまでの申請者の研究を踏まえて、日本における多文化・多民族共生を志向した社会科教育のあり方について検討し、提案した。 国土が極めて小さく、資源が乏しいシンガポールは、観光立国として経済基盤を築いていることもあり、異文化理解、尊重のためのシティズンシップ教育は、国家戦略として重要な課題となっている。また、言うまでもなく歴史的にも、そしてそれに起因する人口における民族構成からも、多文化・多民族の共生を志向する市民・国民形成が死活問題とも言える状況にある中で、戦略的に多様性を尊重しながらも、統一性を志向するシティズンシップ教育を実現する教育制度、政策は極めて興味深いものがあることがわかった。この点について、香港では多様性の尊重とアイデンティティ形成の両立において課題を抱えている現状があり、両国を比較検討することで、有益な示唆を得られるのではないかと考えている。 現状では、基礎資料ならびに基本的な情報を収集した段階であり、かつ日本におけるシンガポール研究の先行事例も決して多くはないため、今後さらに学校制度からナショナル・スタンダード、それに則したカリキュラムの事例、実践事例などを収集した上で、日本ならびにカナダとの比較も視野に入れて研究を遂行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、シンガポールや香港、韓国などの基礎的資料ならびに情報収集を始めた段階ではあるが、本研究はアジアにおける多文化・多民族国家のシティズンシップ教育の比較検討を行っていくための、基礎的研究であり、そうした意味で、おおむね順調に進展している。 ただし、当初の予定では、初年度に少なくとも韓国とシンガポールへ赴き、基礎調査を行う予定であったが、時間の都合上、国際研究大会への参加を兼ねて、シンガポールで基礎的な情報収集を行うのみに留まってしまったため、基礎的資料および情報収集が十分には行えなかった。予算を次年度に繰り越して、基礎調査を進められるよう計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
本務との兼ね合いで、時間の都合上、現地調査が困難となる可能性もあるため、今後はより一層、現地の研究者と密にコミュニケーションをとり、彼らを介して、当該国家の教育省庁の資料ならびに情報収集に努めるとともに、学術論文の収集・分析を通して、基礎情報の収集、整理を行う。
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Causes of Carryover |
本務との時間調整の結果、予定していた現地調査を遂行することができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度繰り越した現地調査を遂行しする。
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Research Products
(2 results)