2016 Fiscal Year Research-status Report
アジアにおける多文化共生に向けたシティズンシップ教育の受容と展開に関する比較研究
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15K17406
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
坪田 益美 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (20616495)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シティズンシップ教育 / 社会科 / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、主に日本におけるシティズンシップ教育の展開と展望についての調査、考察を行った。ひとまず、日本において2000年代から隆盛し始めたシティズンシップ教育研究の動向を整理した上で、その目指す方向性と現状の課題について明らかにした。シティズンシップという概念自体は、イデオロギーや視点によって、その形はさまざまであり、そうした意味で、日本においてシティズンシップ教育は、極めて多義的なままで、多様な教育実践やアクティビティが生み出されてきたと言える。ただし、多文化共生という観点でのシティズンシップ教育に関する研究は、まだまだ発展途上であり、積極的に考究していく必要があるということが明らかとなった。また、日本のシティズンシップ教育の動向について、ある程度の方向性や特徴を踏まえたことによって、アジアにおけるシティズンシップ教育の動向と比較するための視点を絞る足がかりを得た。 さらに、さまざまな教科、教育活動において展開されるシティズンシップ教育について、そこにおける社会科の役割を明確にする過程で、教科外および学校外でのシティズンシップ育成に関わる活動、教材の存在についても関心が高まった。特に、歴史的遺産やそれらに関する博物館・資(史)料館が及ぼす、あるいは果たす影響についても、今後追究していきたい。 加えて、当該年度は韓国における国民形成に寄与すると思われる歴史博物館等の展示内容ならびに展示手法についての基礎調査も始めた。国民意識の高揚を図るとともに、国際協調を目指すシティズンシップ教育を考究していくにあたって、今後も学校教育だけでなく、さまざまな教育機関の日韓比較を行うための資料・情報収集を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は日本のシティズンシップ教育の展開ならびに展望に関する資料・情報収集および分析を中心に行うことができた。本研究は、基礎研究として、日本ならびにアジアのシティズンシップ教育の展開についての情報および資料収集を主な目的としており、そうした意味で、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度が本研究課題の最終年度となるため、特に韓国に焦点を絞って、さらなる資料・情報を収集するとともに、日韓比較の視点を明確にすることを目標として研究を進める。韓国での現地調査を積極的に行い、現地の研究者だけでなく、現職の教員との関わりを持ち、友好関係を作ることで、さらなる研究の発展につなげる足場を築けるよう努める。
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Causes of Carryover |
現地調査ならびに国際学会への参加によって資料・情報収集することが、本研究課題における使用計画上の主な用途だが、本務との時間調整の結果、計画通りに海外渡航をすることができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度となるため、積極的に現地調査を行う。また、これまで収集した資料ならびに情報の保存、および整理、成果発表等に係る費用としても支出する予定である。
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Research Products
(2 results)