2015 Fiscal Year Research-status Report
価値多元的社会ドイツにおける道徳教育のカリキュラムと教授学に関する実証的研究
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15K17412
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
濱谷 佳奈 大阪樟蔭女子大学, 児童学部, 講師 (60613073)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 道徳教育 / 倫理・哲学科 / 宗教科 / コンピテンシー / カリキュラム / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多様な民族的・宗教的・文化的背景を持つ人々により構成される価値多元的なドイツ社会において、道徳教育のカリキュラムおよび教授学習方法の変革がどのように展開しているのかを明らかにすることを目的とする。 この目的を達成するため、研究初年度にあたる2015年度は、第一に、倫理・哲学科のカリキュラムに見られる変革を、特にコンピテンシー・モデルへの転換に焦点を当てて明らかにすることを試みた。その上で、コンピテンシーの考え方の導入が、倫理・哲学科と宗教科との関係にどのような意味を持つのか、考察を行った。事例として、ノルトライン・ヴェストファーレン州実践哲学科とブランデンブルク州「生活形成・倫理・宗教」科に注目した。その結果、コンピテンシーの考え方の導入が、道徳教育教科である倫理・哲学科と宗教科との関係にいっそうの結び付きを促していることが確認された。 第二に、ノルトライン・ヴェストファーレン州実践哲学科の教師教育に焦点を当てた調査研究を行った。事例としてボン実践的教師教育センターに注目し、参与観察調査を行った。同センターのゼミナールでは、コンピテンシーと連動した成績評価のあり方について議論が行われるなど、コンピテンシー・モデルに対応した実践的教員養成が行われていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度前半と終盤の研究および調査はおおむね順調に進展したが、中盤で産前産後の休暇および育児休業を取得し、研究を中断したため、実践哲学科教科書の翻訳出版に向けた進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策は次の二本の柱にまとめられる。 (1)倫理科カリキュラムおよび宗教科カリキュラムにみられるコンピテンシー・モデルへの転換をめぐる議論を、道徳教育の観点から整理する。また、コンピテンシー・モデルが実際の学校でどのように活きているのか、授業実践にみる変革の進展状況の調査研究を行う。 (2)実践哲学科教科書の翻訳出版に向けた翻訳、校正作業を継続する。版権交渉が求められている教科書の図絵の版権に関わる確認作業を行う。次年度の日本版実践哲学科教科書を用いた実験的授業に向けた準備を整える。
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Causes of Carryover |
産前産後の休暇および育児休業を取得し、研究を中断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として、研究図書・雑誌の購入と、ドイツでの調査旅費、および、実践哲学科教科書の翻訳出版に必要な版権使用料、翻訳料、制作費に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)