2016 Fiscal Year Research-status Report
美術(アート)の協同的創造による協調的問題解決スキル育成のためのカリキュラム開発
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15K17415
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare、Junior College |
Principal Investigator |
手塚 千尋 東京福祉大学短期大学部, こども学科, 講師 (20708359)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 協同的創造 / 協調的問題解決スキル / アート教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、これまでに収集した協同的創造による問題解決の授業実践データの分析と新たな授業実践・分析をした。これらを踏まえて協調的問題解決スキル育成を目的としたカリキュラムの試案を作成した。 授業の実践と分析【第二段階】では、既存のデータを用いて協同的創造による問題解決の場面の抽出、【第一段階】で構築した協調的問題解決スキル同定の枠組みとの比較検討、スキル同定を行った。その結果、発揮されたスキルの分類はできたが、より高次で複雑な状況下の行動に対する評価の枠組みが不足していることが分かった。 新たに実施した、小学校第5学年4クラスの児童を対象とした授業実践(屏風絵の鑑賞からグループで1つのストーリーを構想し、テキストとビジュアルイメージで表現する活動)では、グループに1名の記録者兼ファシリテータを配置し、授業を観察しながらスキル同定を目的としたルーブリック評価(記述式)を行った。その結果、多様な解釈が可能となるアート(美術)の協調的問題解決課題において、①「平等」という意識が強く働く場合、アイデアの融合よりもいわゆる「落としどころ」となる共通性を探すスキルが発揮されやすいこと、②たとえば、史実のような既得の知識を軸に活動が展開される場合、その枠に捉われないイメージの喚起(拡散的思考)が起きにくくなり、収束的思考に関連するスキルが発揮されやすいこと、③多様な解釈をつくりだすことが可能なビジュアルイメージベースの活動は、単体のスキルだけではなく、複合的にスキルが発揮される機会になることなどが明らかとなった。 カリキュラムの試案作成【第三段階】では、協同的創造による協調的問題解決の学習が個々の暗黙知を形式化する機会であることに着目して、現職教員と協働してカリキュラム試案を作成した。この試案は、平成29年度に第5・6学年を対象に実行し分析していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
協調的問題解決場面の抽出とそこで発揮されるスキルを同定するための枠組みについて、学会発表した。また、新たな授業実践とその分析から明らかとなったスキルの質に関する分析についても発表できる段階にある。4クラスの授業実践によりケーススタディを集積することが可能となり、新たな視点の獲得につなげることができた。研究成果の公表についてやや遅れているため、29年度は、協同的創造による問題解決の場面の抽出、スキル同定に関する投稿論文を作成する。
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Strategy for Future Research Activity |
作成したカリキュラム試案は、平成29年4月より研究協力校で実行する。授業の観察と分析・評価、および現職教員からのフィードバックをもとに、カリキュラムの修正及び授業デザインの再検討をしてモデルカリキュラムを作成していく。また、研究成果は、学会発表および論文で公表していく。
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Causes of Carryover |
研究計画の変更に伴い、平成28年度に前倒し請求をしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、カリキュラム試案の実行と検証を踏まえたモデルカリキュラムの作成を計画している。文献、論文の購入費に充てていきたい。
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