2017 Fiscal Year Research-status Report
発達性読み書き障害児者が示す漢字単語音読障害の特徴と認知障害に関する基礎的研究
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15K17420
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
三盃 亜美 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (60730281)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 隣接語数効果 / 隣接語親密度効果 / 認知能力 / 視覚性の再認能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、発達性読み書き障害児者が示す漢字単語音読障害の特徴(正確に音読するのが困難な単語の性質)と音読に関係する認知障害構造から、漢字単語音読障害の障害機序(なぜ音読が困難なのか)を把握できる検査バッテリーを開発するのに必要な基礎的データを得ることである。平成29年度の調査では、1)発達性読み書き障害児者が正しく音読するのが困難な単語がどのような性質をもつ単語なのか、2)音読に関係する認知障害構造の把握に必要な認知課題とは何かという2点について詳細に検討した。 検討項目1)に関して、隣接語数効果と隣接語親密度効果を指標に音読調査を実施したところ、欧米圏の先行研究と同様に、音読の正確性において隣接語数効果と隣接語親密度効果の両者を顕著に示す定型発達児群とは対照的に、発達性読み書き障害児群の音読の可否には隣接語数の影響は少なく、隣接語親密度効果が大きく示された。このことから、発達性読み書き障害児群は定型発達児群ほど十分にOrthographic lexiconを発達させていないことが示唆された。 検討項目2)に関して、小学校4~6年生の定型発達児を対象に認知能力を評価する検査を作成し、基礎データを得た。調査では、語彙力を評価するために単語の聴覚的な意味理解力検査、音韻能力を評価するために非語復唱と非語逆唱課題、視覚認知力を評価するためにレイの複雑図形の模写・遅延再生と図形の再認課題、自動化能力を評価するためにRAN課題を実施した。その結果、定型発達児群の音読の正確性に、語彙力、図形の再認能力、音韻能力の関与が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度までに、本研究の目的を達成するための音読と認知能力に関する課題作成を終えた。現在、定型発達児群のデータに関して解析と、学術誌への投稿準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に発達性読み書き障害児の認知能力を評価する課題を完成させた。平成30年度では、これらの課題を用いて、発達性読み書き障害児の認知能力を検討する。
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Causes of Carryover |
調査に必要な物品を購入予定であったが、共同研究者の物品を借りることができたため、購入の必要がなくなった。しかし、今年度、新たに行う調査のために、調査に必要な物品を購入する予定である。
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Research Products
(5 results)