2018 Fiscal Year Annual Research Report
Reading characteristics and cognitive deficits of children and adult with developmental dyslexia in Japanese Kanji
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15K17420
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
三盃 亜美 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (60730281)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 漢字単語の音読困難 / 単語属性効果 / 発達性読み書き障害 / 音韻操作能力 / 語彙力 / 視覚的な再認能力 / 文字入力辞書 / 系列的な非語彙処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達性読み書き障害児者の漢字単語音読における音読障害の特徴と認知障害構造を明らかにし、漢字単語音読障害に関するアセスメント目的の検査バッテリーを開発するのに必要な基礎的データを得ることを目的にした。この目的を達成するために、研究期間全体を通して、11の調査を実施した。最終年度は全ての調査結果を包括的に整理・必要な再調査を行い、次の4点の知見を得た。1)漢字単語の音読も、仮名やアルファベット語同様に、非語彙処理は系列的に行われる。2)発達性読み書き障害群の漢字単語の読み習得度は、単語属性に関係なく、定型発達群より低く、全体の読み処理の発達が遅れている。発達性読み書き障害群は、他の処理よりも、意味情報を活用した語彙処理を活用する傾向にあり、他の文字言語の発達性読み書き障害児童同様に、文字と音の対応関係および文字列全体と単語の音の対応関係の習得が十分でない。これは成人例にも当てはまる。3)語彙力(理解語彙と表現語彙双方)、音韻操作能力、視覚的な再認能力が漢字単語音読の習得度を予測する。実際に、読み困難を示す児童生徒の多くで、これらの要因のいずれかに弱さがみられた。語彙力(理解語彙と表現語彙双方)、音韻操作能力、視覚的な再認能力の弱さが漢字単語の音読困難を引き起こすと考えられる。4)語彙処理が十分に発達していない背景の一つとして文字入力辞書のサイズが小さい、または、文字入力辞書内にある綴りに関する情報が不正確な可能性が考えられた。 今後の課題として、市販のスクリーニング検査にて、音読障害の有無を確認したのち、少なくとも、上記の単語属性効果を検討できる音読リストを用いて、個々の児童の良好な・弱い音読処理を、さらに、語彙力・音韻操作能力・視覚的な再認能力を評価することで音読困難の背景要因を推定して、個々の児童の特性に合わせた音読指導の方法を検討していくことが必要ではないかと思われる。
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Research Products
(1 results)