2016 Fiscal Year Research-status Report
弱視学生支援システムを整備・拡充するための理解促進プログラムの開発
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15K17422
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
相羽 大輔 愛知教育大学, 教育学部, 助教 (50735751)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 障害学生支援 / 弱視 / ロービジョン / 視覚障害 / 援助要請 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、弱視学生が求める支援サービスに対する健常学生の意識と個人要因との関連を検討し、どのような健常学生がどのような支援サービスを受容・拒否しやすいかを解明した。418名の健常学生に、個別の留置き形式による質問紙調査を実施し、昨年度の事例調査に基づき作成した弱視学生の支援サービス項目(31項目)と個人要因(会話:視覚障害者との会話経験、友人:障害者の友人の有無、関心:弱視への関心の有無、職種:将来の希望職種)について尋ねた。 すべての支援サービス項目に因子分析を行い、健常学生の態度構を検討したところ、授業支援に関する内容(授業支援因子:11項目)、成績評価に関する内容(成績評価因子:8項目)、組織的な支援に関する内容(組織支援因子:7項目)が抽出され、支援内容の多次元構造が確認された。 どのような健常学生がどのような支援サービスを受容・拒否しやすいかを検討するため、各因子に基づく尺度を構成し、それぞれについて、尺度得点を従属変数に各個人要因を独立変数とする分散分析を行った。その結果、すべての尺度において、関心の有群が無群よりも、支援職群が一般職群よりも得点が高く、支援内容を受入やすいことが明らかになった。一方、組織支援尺度でのみ、会話の主効果が見出され,経験有群が無群の方が当該尺度の支援内容を受け入れやすいことが明らかになった。 本研究の成果は、日本教育心理学会第59回総会(名古屋)でのポスター発表にて公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、弱視学生支援サービスに対する健常学生の意識を測定するための尺度を構成し、それを用いて、弱視学生の支援サービスに対する健常学生の意識に及ぼす個人要因の関連を検討することを計画していた。概要で報告したとおり、計画に記した内容を順調に進め、研究実績を蓄積できていると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、本年度開発した弱視学生支援サービス尺度を活用し、弱視学生の補助具活用の違いが支援サービスに対する健常学生の態度変容に及ぼす効果を、支援サービス内容ごとに比較検討する(研究3)。これにより、弱視学生がどのような補助具を使って見えにくさをアピールすれば、健常学生から理解・支援が得やすくなるかを解明する。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、計画的に予算を執行したが、予定よりも消耗品が安く購入できたため、若干の次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、本年度開発した弱視学生支援サービス尺度を活用し、弱視学生の補助具活用の違いが支援サービスに対する健常学生の態度変容に及ぼす効果を、支援サービス内容ごとに比較検討する(研究3)。このため、設備・消耗品費用として、分析に用いる統計ソフト、動画刺激作成のための一般補助具(タブレット端末、拡大ソフト)及び特殊補助具(拡大読書器、弱視レンズ)が必要となる。また、昨年度までの研究成果発表、本年度の調査のための旅費が必要となる。この他、本年度の調査に用いる動画刺激を専門的に作成するため人件費(モデル謝金、動画撮影・編集担当者謝金)が必要となる。本年度の前半に上記の一般補助具及び特殊補助具を購入し、動画刺激の作成を行う。年度の後半は調査実施・分析のための人件費、成果発表のための旅費等の支出を計画している。なお、次年度使用額については、平成29年度の計画の中で使用する。
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Research Products
(1 results)