2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K17432
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
植田 暁子 筑波大学, 数理物質系, 助教 (70453537)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トポロジカル超伝導 / マヨラナフェルミオン / パラフェルミオン / 層状物質 / 分子接合 / 完全計数統計 / ACコンダクタンス |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、マヨラナフェルミオン、パラフェルミオンが出現するトポロジカル超伝導体において、特に完全計数統計の枠組みにもとづき、非平衡輸送を扱い、マヨラナフェルミオン、パラフェルミオンの検出方法を提案すること目的とした研究を行っている。具体的には次のような研究を行った。 1. マヨラナフェルミオンやパラフェルミオンが存在するトポロジカル超伝導体に常伝導体を接合した系において、電子の伝導に関する完全計数統計を得られる生成関数を求めた。それをもとに、電流、ノイズ、尖度などの伝導特性を計算し、トポロジカル超伝導-常伝導の接合系の伝導と通常のNS伝導、またマヨラナフェルミオンが出現するタイプのトポロジカル超伝導体とパラフェルミオンが出現するタイプのトポロジカル超伝導体の電気伝導特性の違いについて議論した。この結果は現在、論文を執筆中である。 2. 分子接合を用いてマヨラナフェルミオンを観測する実験が考えられている。分子にトポロジカル超伝導体の電極を接合することにより、トポロジカル超伝導体による近接効果が分子の量子状態を変更するため、この状態変化を用いてマヨラナフェルミオンの検出を行う。現在、この系での伝導特性の計算を非平衡グリーン関数法を用いて行っている。まず、前段階の計算として、常伝導体のコンタクトを分子に接合した分子接合のACコンダクタンスと完全計数統計を議論した。この成果についてThe Journal of Chemical Physicsに論文発表し、日本物理学会において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マヨラナフェルミオンとパラフェルミオンの出現する系での完全計数統計の結果について、今年度中の論文投稿を予定していたが、議論がまだ足りない部分があるため、投稿が遅れてしまった。また、国際会議の時期が多忙な時期と重なったため、あまり成果発表を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
論文や国際会議、国内学会での成果発表に力を入れたいと思っている。また、海外の協力研究者との連携を深め、研究を推進していきたい。
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Causes of Carryover |
導入を計画していた計算機を他の予算で購入することになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外の研究者との共同研究を推進するための海外出張に用いる。
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