2016 Fiscal Year Annual Research Report
Spin injection into graphene from ferromagnetic van der Waals materials
Project/Area Number |
15K17433
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒井 美穂 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (20738588)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原子層物質 / 強磁性体 / ファンデールワールスヘテロ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
異なる原子層物質同士はファンデルワールス力で積層させ、ファンデルワールスヘテロ構造の作製が可能である。ファンデルワールス接合では格子整合の必要性がないため、接合を構成する原子層は極めて選択肢が広く、グラフェン(ディラック電子系)、遷移金属カルコゲナイド(半導体)、六方晶窒化ホウ素(絶縁体)、さらには強磁性や超伝導を示す二次層状化合物が利用可能である。界面での原子拡散による界面急峻性の劣化もないため理想的な原子層界面が実現可能である。しかしながらこれまで劈開可能な層状物質強磁性体を用いたファンデルワールス接合の研究例はほとんどなかった。本研究では,層状物質強磁性体材料の候補として,TaS2にFe,CrをインターカレートしたFe1/4TaS2,Cr1/3TaS2が強磁性を示すことに着目し、その劈開法による薄片化、磁気特性及びこれらの材料を用いたファンデルワールス磁気トンネル接合の作製を行った。磁気抵抗の評価により、劈開したFe1/4TaS2,Cr1/3TaS2は低温でバルクと同様の強磁性を示し、それぞれ面直及び面内磁気異方性を持つことが確認された。さらにCr1/3TaS2においては特異な異常ホール効果の温度依存性を観測した。さらに劈開・転写により作製したFe1/4TaS2/Cr1/3TaS2ファンデルワールスヘテロ構造においては、2つの強磁性層の磁化が平行・反平行により接合抵抗が変化するトンネル磁気抵抗効果の観測に成功した。異なる強磁性材料から成るファンデルワールスヘテロ構造におけるトンネル磁気抵抗効果は世界初の成果である。今回の結果は, 二次元物質強磁性体ファンデルワールスヘテロ構造のスピントロニクスへの応用可能性を大きく広げる成果といえる。
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