2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17436
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田辺 賢士 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00714859)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スピントロニクス / マグノニクス / スピン波 / マグノン / スネルの法則 / ホール効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピン波の素励起であるマグノンを制御する試みは、低消費電力かつサブテラヘルツ領域のデバイスへの応用が期待され、新しいエレクトロニクス(マグノニクス)の研究として注目されている。マグノンはこれまで1次元的に伝搬する平面波として研究されてきた。しかしマグノニクス分野の発展やマグノニックデバイスの集積化のためにはマグノンの2次元的制御が必要である。 そこで本研究では、マグノンの2つの側面から、すなわち波動性と粒子性の観点から、マグノンの2次元的制御の研究を行う。波動性の観点からスネルの法則の研究を行い、スピン波のメタマテリアル分野を創出に貢献する。粒子性の観点からベリー位相を用いたホール効果の研究を行い、幾何学的概念をマグノニクスに導入する。 本年度はマグノンの粒子的側面であるホール効果の研究を行った。イットリウム-鉄-ガーネットの単結晶中にマイクロ波でマグノンの励起したところ、素子の端で異常な温度勾配を観測した。我々はこの温度勾配をマグノンバンドのベリー位相の効果と解釈しており、本結果を論文(Physica Status Solidi B)にまとめた。 またマグノンの波動的側面の研究では入射角ゼロの特別な条件下でのシミュレーションを行い、スピン波のスネルの法則の概念にしたがって波長が変調されることを明らかにした。この結果は我々の以前の実験結果と矛盾しない。本成果は論文(H. Hata etal., J. Magn. Soc. Jpn. 39, 151 (2015))として出版されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度はマグノンのホール研究が順調に進み、論文としてまとめる事ができたため。 またスネルの法則の研究では、我々が以前提案したスネルの法則の概念で説明できる、特に屈折率が膜厚のみで定義できる点を数値計算の立場から実証できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
マグノンの粒子的側面からの研究、ホール効果の研究はおおよそ当初の目標に到達した。今後はマグノンの波動的側面から見たスピン波のスネルの法則の研究、特にスピン波の屈折や反射の研究に注力する。
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Causes of Carryover |
申請の際に請求していた予算より減額され、当初購入を予定していたシグナルジェネレータの購入を取りやめたため。 また申請時に所属していた大阪大学から、名古屋大学に移動し、研究環境が大きく異なったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
以前所属していた大阪大学の研究室では微細加工が研究室内で可能であったが、現在所属している名古屋大学の研究室では微細加工が十分にできるとはいえない。そこで今後は学内の微細加工ルームの使用に予算を当てていく予定である。
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[Presentation] Snell’s Law for Spin Waves2015
Author(s)
J. Stigloher, M. Decker, H. S. Körner, K. Tanabe, T. Moriyama, T. Taniguchi, H. Hata, M. Madami, G. Gubbiotti, K. Kobayashi, T. Ono and C. H. Back
Organizer
The 22nd International Colloquium on Magnetic Films and Surfaces
Place of Presentation
Cracow, Poland
Year and Date
2015-07-12 – 2015-07-17
Int'l Joint Research