2015 Fiscal Year Research-status Report
金属ナノ粒子装荷型グラフェンメタマテリアルにおける2次元プラズモンの動的制御
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15K17455
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石川 篤 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (90585994)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グラフェン / メタマテリアル / プラズモン / THz波 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフェンメタマテリアルにおける2次元プラズモンの動的制御の実現を目的に、その電磁場解析およびデバイス作製技術の確立に取り組んだ。電磁場解析では、グラフェン上の2次元プラズモンが誘起する位相不連続性を原理とするメタ表面を用いた波面制御の原理について検証した。具体的には、マイクロサイズ幅の短冊形状を有するグラフェンリボンが、誘電体層を介して銀ミラー上に1次元配列されたメタ表面に対して、時間領域有限差分法に基づく数値解析を行った。各グラフェンリボンのプラズモン共鳴を動的に制御することで、垂直入射のTHz波がメタ表面内の位相勾配を反映して異常反射される原理を見出した。周波数5THzにおける最大反射角53度および最低反射率60%の反射特性を達成し、THz波の位相のみならず、振幅の空間分布も高速に電圧制御できる新規なTHz波空間変調器への応用を検討した。デバイス作製技術の確立では、グラフェンメタ表面の実現に必要となる、酸素プラズマによるドライエッチングおよびスパッタ法による金薄膜作製に取り組んだ。前者については、ドライエッチング装置の立ち上げに加え、熱酸化膜付シリコンあるいはポリマーフィルム上のグラフェンのみを、基板にダメージを与えずにエッチングできる酸素分圧およびRFパワーの条件探索に取り組んだ。また後者については、スパッタ装置の立ち上げに加え、グラフェンの欠陥を増加させることなく、グラフェン上に薄膜あるいはアイランド形状の金構造を作製できるプラズマガス圧力および成膜時間の条件探索に取り組み、今後のグラフェンメタマテリアル作製に有用な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフェンメタマテリアルに対する電磁場解析を通して、2次元プラズモンの動的制御を用いた新規なTHz波制御技術の知見を得ることができ、今後のデバイス構造設計と実験的評価手法の検討を進めることができた。実験装置の新規立ち上げ等により、本年度に計画していた幾つかの実験について実施できなかった項目があるものの、デバイス作製における作製条件等が確立されつつあり、次年度に向けてこれらの項目の実施を加速できる状況にある。以上の結果から、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の実施状況を踏まえ、金ナノ粒子を装荷したグラフェンメタ表面の作製と評価に取り組む。具体的にはまず、前年度に作製条件を確立したスパッタ法または化学合成した金ナノパーティクルの均一分散・固定化手法を用いてグラフェン-金ナノ粒子複合材料を作製する。試料作製時のグラフェンの欠陥増加を顕微ラマン分光および移動度測定により定量評価したのち、金ナノ粒子のプラズモン応答を紫外-可視吸収分光を用いて検証する。次に、金ナノ粒子のプラズモン共鳴に応じた様々な照射条件の励起光に対して、電気的評価を行うと同時に、FT-IRを用いた赤外分光を行うことで、2次元プラズモン励起の動的制御を光学的にも評価する。
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Research Products
(6 results)