2016 Fiscal Year Research-status Report
大型バルクGaN単結晶の開発に向けた結晶成長機構の解明
Project/Area Number |
15K17459
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
河村 貴宏 三重大学, 工学研究科, 助教 (80581511)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 窒化ガリウム / 結晶成長 / 第一原理計算 / 不純物 / Naフラックス成長 / OVPE成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではバルクGaN単結晶の成長機構の解明を目的として,(i)Naフラックス成長における炭素添加による成長速度増加メカニズムの解明と(ii)OVPE成長における表面反応過程と結晶成長過程の解明について取り組んでいる.(i)に関してはH27年度に研究目的をほぼ達成したので,H28年度以降は(ii)にテーマについて取り組んでいる. 本年度は極性面である(0001)面と(000-1)面,また非極性面である(11-20)面と(1100)面について,OVPE成長条件下における結晶表面構造を検討した.結晶表面にGa,N,H,O原子で構成される原子や分子を吸着させた表面構造モデルを各面ごとに約50種類作成して解析を行った.第一原理計算によって得られた各表面構造モデルの全エネルギーと気相の原子・分子が有する並進・回転・振動のエネルギーを考慮することで,温度・圧力と安定な表面構造の関係をまとめた表面状態図を作成し,そのグラフをもとに表面状態について検討した. その結果,(0001)面,(11-20)面,(1100)面では共通して結晶表面のGa原子上にOH基が吸着した表面構造が安定であるが,(000-1)面では結晶表面上のGa層にO原子が取り込まれた構造が安定であることが分かった.これらのOHまたはOを表面から取り除くために必要なエネルギーを評価したところ,(0001)面,(11-20)面,(1100)面上のOHの場合は約5eVであることから,OHは脱離し難いことが分かった.しかしながら(000-1)面のGa層上のOの場合は6eV以上であったので,より脱離し難いことが分かった.したがって,極性面と非極性面の中では(000-1)面が最もO不純物を取り除きにくいため,(000-1)面成長を行った場合がO不純物量が最も多くなると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(i)については,H27年度で研究目的をほぼ達成した.H28年度以降は(ii)について研究を進めており,ほぼ計画通りに進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
(ii)についてOVPE成長条件下におけるGaN結晶表面状態の検討を進めており,これまでに(0001),(000-1),(11-20),(1100)面の解析が完了している.あと(10-11)面と(10-1-1)面が結晶成長中に現れることが知られているので,これらの面についても表面状態の解析を行う.最終的には上記全ての面の解析結果を総合的に比較して,酸素不純物の取り込みに関してどの面が最も適しているかを議論したいと考えている.
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせ(九州大学)の回数を減らすことができたので,その分の旅費が削減されたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を考慮しても次年度の研究費は大きくは変わらないため,当初の計画通りに進める予定である.
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