2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of theoretical method toward molecular spintronic and electronic device design
Project/Area Number |
15K17465
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
南谷 英美 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (00457003)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 近藤効果 / 磁性分子 / 分子スピン / 数値くりこみ群 / 磁気異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に沿って、数値くりこみ群計算の高速性を高めるために、プログラムコード内のボトルネックとなっていた行列要素の演算部分を行列積計算の高速ライブラリに置き換える作業を進めた。その結果、特に対称性が低く扱う行列サイズが大きくなる系において30倍程度の高速化を成果として得た。 さらに、動的磁化率の計算モジュールを実装した。その結果、走査トンネル顕微鏡(STM)で観測される非弾性スピン反転スペクトルを、近藤効果の影響も含めて議論することが可能になった。この計算手法をAu(111)表面上のFeフタロシアニン分子に対するSTM観察結果の解釈に応用し、磁気異方性が近藤効果より小さい場合と大きい場合では非弾性スピン反転励起過程がトンネル電流に占める割合が異なり、スペクトル形状が大きく変化することを明らかにした。この成果は現在論文投稿中である。 これらの研究と並行して、分子における磁気異方性とそれに与える基板の影響をモデル化し、モデル内のパラメータを第一原理計算から見積もることで、吸着分子における磁気異方性を系統的に理解する理論を構築した。この成果はPhysical Review Bに掲載された。 また、超伝導を示すSi(111)上のIn薄膜に遷移金属フタロシアニン分子を吸着させた場合に、Inの超伝導特性がどのように変化するかについて、実験との共同研究を進めた。Mnフタロシアニンでは超伝導転移温度が低下し、Cuフタロシアニンでは転移温度が上昇すること、これらの違いはフタロシアニン分子の磁性を担うd軌道の形状の違いから生じていることを明らかにした。この成果はNano Lettersに掲載された。
|
Research Products
(5 results)
-
[Journal Article] Controlled Modification of Superconductivity in Epitaxial Atomic Layer-Organic Molecule Heterostructures2017
Author(s)
Shunsuke Yoshizawa, Emi Minamitani, Saranyan Vijayaraghavan, Puneet Mishra, Yasumasa Takagi, Toshihiko Yokoyama, Hiroaki Oba, Jun Nitta, Kazuyuki Sakamoto, Satoshi Watanabe,Tomonobu Nakayama,and Takashi Uchihashi
-
Journal Title
Nano Letters
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-