2016 Fiscal Year Research-status Report
短波長自由電子レーザーを用いた光解離性分子の時間分解分光
Project/Area Number |
15K17487
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福澤 宏宣 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (40541834)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自由電子レーザー / ポンプ・プローブ計測 / 重元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
X線自由電子レーザー施設SACLAの軟X線ビームラインBL1において、重元素であるキセノン原子、および重元素を含む分子であるジヨードメタンに自由電子レーザーを集光して照射し、放出されるイオンの収量と3次元運動量を計測した。さらに、近赤外レーザーも同時に照射し、2色レーザー照射によるイオン収量や運動量の変化を捉えることを試みた。キセノン原子を試料とした実験では、2色のレーザーを同時に試料に照射し、空間的なオーバーラップを容易に実現する手法を開発した。また、自由電子レーザー照射後に近赤外レーザーが照射された場合のみに起こる現象を捉えることに成功し、その立ち上がり時間から自由電子レーザーを利用したポンプ・プローブ実験ではカギとなる時間原点の決定手法の開発に成功した。これらの成果は、本課題で目標とする、ポンプ・プローブ計測による分子形状と電子状態の変化と相関を捉えることを達成するために必要な技術開発である。ジヨードメタン分子を標的とした実験では、一つの複数のイオンが運動量を持って放出され、それらの運動量は相関を持つ。これらの解析は現在進行中である。 また、平成27年度に放射光を用いて実施した重元素を含むクラスターの荷電粒子多重同時計測実験による結果を、平成28年度に学術論文としてまとめ、公表した。 さらに、平成27年度にSACLAの硬X線ビームラインBL3で実施したジヨードメタン分子へのX線自由電子レーザー照射実験の成果を、平成28年度にまとめ、学術雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題ではポンプ・プローブ計測による分子形状と電子状態の変化と相関を捉えることが目標であるが、本課題の遂行に必要な技術開発が整ってきたため。また平成29年7月にビームタイムを取得することもでき、平成29年度も継続して自由電子レーザー利用研究を推進できる見込みであるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度も継続して、自由電子レーザーと光学レーザーを用いたポンプ・プローブ計測を実施する。また、放射光を用いて、定常状態分子を標的とした実験も実施し、ポンプ。プローブ計測による時分割測定データの理解を深める。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Charge transfer to ground-state ions produces free electrons2017
Author(s)
D. You, H. Fukuzawa, Y. Sakakibara, T. Takanashi, Y. Ito, G.G. Maliyar, K. Motomura, K. Nagaya, T. Nishiyama, K. Asa, Y. Sato, N. Saito, M. Oura, M. Schoeffler, G. Kastirke, U. Hergenhahn, V. Stumpf, K. Gokhberg, A.I. Kuleff, L.S. Cederbaum, K. Ueda
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 8
Pages: 14277
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] SACLAのX線自由電子レーザーに誘起されるCH2I2分子における超高速緩和過程の時間分解測定2017
Author(s)
高梨司, 福澤宏宣, 本村幸治, 永谷清信, 和田真一, 熊谷嘉晃, Iablonskyi Denys, Mondal Subhendu, 伊藤雄太, 立花徹也, 山田周平, 榊原悠太, You Daehyun, 西山俊幸, 松波健司, 酒井司, 浅和貴, 佐藤由比呂, 梅本嵩之, 仮谷薗寛悟, 高橋優祐, 菅野学, 中村公亮, 山崎馨, 梶本真司, 五月女光, Kukk Edwin, Kooser Kuno, Nicolas Christophe, 他
Organizer
第30回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム
Place of Presentation
神戸芸術センター(兵庫県神戸市)
Year and Date
2017-01-08 – 2017-01-09
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[Presentation] Ne-Kr 混合クラスターにおける基底状態イオンへの電荷移動に伴う電子放出2017
Author(s)
Daehyun You, 福澤宏宣, 榊原悠太, 高梨司, 伊藤雄太, Gianluigi G. Maliyar, 本村幸治, 永谷清信, 西山俊幸, 浅和貴, 佐藤由比呂, 斎藤則生, 大浦正樹, Markus Schoffler, Gregor Kastirke, Uwe Hegenhahn, Vasili Stumpf, Kirill Gokhberg, Alexander I. Kuleff, Lorenz S. Cederbaum, 上田潔
Organizer
第30回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム
Place of Presentation
神戸芸術センター(兵庫県神戸市)
Year and Date
2017-01-08 – 2017-01-09
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[Presentation] Ne-Kr 混合クラスターにおける基底状態イオンへの電荷移動に伴う低エネルギー電子生成の観測2016
Author(s)
Daehyun You, 福澤宏宣, 榊原悠太, 高梨司, 伊藤雄太, Gianluigi G. Maliyar, 本村幸治, 永谷清信, 西山俊幸, 浅和貴, 佐藤由比呂, 斎藤則生, 大浦正樹, Markus Schoeffler, Gregor Kastirke, Uwe Hergenhahn, Vasili Stumpf, Kirill Gokhberg, Alexander I. Kuleff, Lorenz S. Cederbaum, 上田潔
Organizer
原子衝突学会第41回年会
Place of Presentation
富山大学五福キャンパス(富山県富山市)
Year and Date
2016-12-10 – 2016-12-11
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[Presentation] X線自由電子レーザーを用いたジヨードメタンにおける光誘起分子過程の時間分解測定2016
Author(s)
高梨司, 福澤宏宣, 本村幸治, 永谷清信, 和田真一, 熊谷嘉晃, Iablonskyi Denys, Mondal Subhendu, 伊藤雄太, 立花徹也, 山田周平, 榊原悠太, ユデヒョン, 西山俊幸, 松波健司, 酒井司, 浅和貴, 佐藤由比呂, 梅本嵩之, 仮屋薗寛悟, 梶本真司, 五月女光, Kukk Edwin, Kooser Kuno, Nicolas Christophe, Miron Catalin, Schoeffler Markus, 他
Organizer
第10回分子科学討論会
Place of Presentation
神戸ファッションマート(兵庫県神戸市)
Year and Date
2016-09-13 – 2016-09-15
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[Presentation] Experimental identification for an efficient neutralization pathway of the dication in a cluster2016
Author(s)
D. You, H. Fukuzawa, Y. Sakakibara, T. Takanashi, Y. Ito, G. Maliyar, K. Motomura, K. Nagaya, T. Nishiyama, K. Asa, Y. Sato, N. Saito, M. Oura, M. Schoeffler, G. Kastirke, U. Hergenhahn, V. Stumpf, K. Gokhberg, A. I. Kuleff, L. S. Cederbaum, K. Ueda
Organizer
39th International conference on Vacuum Ultraviolet and X-ray Physics (VUVX2016)
Place of Presentation
Zurich, Switzerland
Year and Date
2016-07-03 – 2016-07-08
Int'l Joint Research