2015 Fiscal Year Research-status Report
高立体角な蛍光X線計測のための大規模・高密度超伝導アレイ検出器
Project/Area Number |
15K17495
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤井 剛 国立研究開発法人産業技術総合研究所, ナノエレクトロニクス研究部門, 研究員 (30709598)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超伝導トンネル接合 / X線検出器 / シリコン貫通電極 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、半導体X線検出器の約10倍のエネルギー分解能力を有する超伝導トンネル接合(STJ)アレイX線検出器の有感面積を大幅に拡大させるため、従来の10倍の素子数となる1000素子STJアレイX線検出器を開発する。平成27年度は、1000素子STJアレイ、埋め込み超伝導配線、シリコン貫通電極構造(TSV)を組み合わせた検出器構造の設計を行った。TSVの歩留まりによる検出器としての歩留まり低下を防ぐため、4本のTSVを1配線とする構造を設計した。また、この構造を作製するための要素技術として、(1)TSVアレイ、(2)1000素子STJアレイ作製技術の開発を行った。それぞれの成果は以下の通りである。 (1)CuおよびSnを埋め込んだTSVを開発した。TSVの貫通穴は、ナノテクノロジープラットフォームのNIMS微細加工プラットフォームを利用し、作製した。直径30μm、間隔60μmの貫通穴を64×64個配列した構造の作製に成功した。また、貫通穴へのCuおよびSnの埋め込みは、ナノテクノロジープラットフォームの早稲田大学微細加工プラットフォームを利用し、作製した。電解めっきにより直径50μm、間隔150μmの貫通穴にCuおよびSnを完全に埋め込むことに成功した。作製したTSVの導通が有ることを確認した。 (2)埋め込み超伝導配線構造上に1024素子STJアレイを作製した。直列に接続したSTJの電流電圧特性の評価を行い、リーク電流が100nA以下のIV特性を示す素子の割合が96%であることを確認した。更に、64素子のX線検出特性の評価を行った。C-Ka線に対する平均エネルギー分解能も従来の100素子から成るSTJアレイX線検出器と同程度の13eVを実現した。この成果の一部は、国際会議LTD16において発表し、査読論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1000素子STJアレイX線検出器を実現させるため、STJアレイ、埋め込み超伝導配線、TSVを組み合わせた構造の設計を行った。また、この構造を作製するために必要な2つの要素技術(TSV作製技術、1000素子STJアレイ作製技術)の開発に成功した。これら技術を用いて設計した構造を作製出来る目途が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
歩留まり90%以上の1000素子STJアレイX線検出器を実現させるため、TSVの歩留まり評価を行い、歩留まりが80%を超える作製技術を確立する。4000本のTSVと1000素子のSTJを埋め込み超伝導配線で接続した構造を作製し、1000素子のSTJから成るX線検出器を作製する。
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Causes of Carryover |
TSVの作製の一部で外部機関(NIMSと早稲田大学)を利用し行っているため、試作のスケジュールを予定通りに進めることが出来なく、1回分の試作費用が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に予定していたTSVの1回分の試作を平成28年度に実施する。平成27年度、平成28年度ともに、TSVの試作は年間5回程度の予定であり、試作時期が2ヶ月程度遅れたものの、研究計画全体としての使途計画に大きな変更があるわけではない。
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Research Products
(5 results)