2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17502
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
内種 岳詞 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究機構, 特別研究員 (70710143)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 実験計画法 / 進化計算 / 感度分析 / 社会シミュレーション / エージェントシミュレーション / 防災・減災 / 避難 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で提案する進化的実験計画法は,大規模問題への効率的な多変量分析適用のためのフレームワークである.その概念は,H27年度の国際会議で報告された.提案手法は,たとえば,自然災害にたいする都市の防災対策を効率的に発見する手法として提案した.金沢地方における津波からの避難では,22カ所の防災対策をすべき避難経路が想定されている.すべての経路に防災対策を施すには多くのコストが必要であり,避難時間に与える悪影響の大きさの予測から防災対策の優先順位づけを行う必要がある.このような場合,経路の利用可否は組み合わせで避難時間に影響を与える可能性があるため,すべての組み合わせを網羅的に実施し,避難時間への影響を見積もるのが望ましい.しかし,簡単化した問題設定でも400万通りを超える経路の利用可否組み合わせが存在するため,網羅的な避難時間予測を行い影響の大きさを推定するのは,現実的ではない. 提案手法が,すべての組み合わせを試行することなく,避難時間へ大きな影響を与える経路の組み合わせを効率よく発見できることを示すために,津波避難問題を一般化したベンチマーク問題の構築を目指した.まず,簡単化した問題設定で,経路の通行可否のすべての組み合わせにたいする避難時間を推定し,津波避難問題の特徴を明らかにした.そして,得られた特徴を再現するベンチマーク問題の構築と提案手法の適用方法について国内会議で報告された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H27年度の目標は,1.「多変量解析の種類」,進化計算の2.「選択」モデルと3.「生成」モデルの組み合わせに対し,ベンチマーク問題を利用して有用性を検証することであった.多変量解析の種類ごとにベンチマーク問題を構築する課題において,解析の種類ごとに一般化したベンチマーク問題を構築することは困難であることが判明した.そのため,ある実問題を一般化したベンチマーク問題を構築し提案手法の開発を行うこととした. 特定の問題に対するベンチマーク問題を利用して,提案手法の有用性を検証実験に着手しており,その結果をH28年11月の国際会議で発表予定である.また,実問題への応用をH28年の目標に掲げていた.そのため,上記の成果により,実問題への適用の目標も同時に達成される. 以上の理由から,H27年度で達成すべき課題の進捗状況はやや遅れているが,本研究の主目的を達成するための致命的な遅れではない.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定を変更し,ある実問題を対象とした提案手法の有用性検証を進めている.H28年度の達成目標は,実問題へ提案手法を適用することであり,実問題を対象とした提案手法の有用性を報告することにより,H28年度の目標を同時に達成できる.よって,「進化計算を応用した実験計画法の体系化」(すべての多変量分析に応用できる手法の開発)に資する成果として有用性の検証結果を報告する.
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Causes of Carryover |
必要な経費を順次執行した結果,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果を保管するための設備を購入する.
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Research Products
(5 results)