2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K17504
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
立谷 洋平 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (90439539)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 線形独立性 / 超越性 / 代数的独立性 / ディオファンタス近似 / β展開 / ヤコビテータ関数 / ディリクレ指標 / フィボナッチ・ゼータ関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度に得られた研究成果は以下の通りである: 1.ディリクレ指標に付随する無限級数の線形独立性(江居宏美氏, F.Luca氏との共同研究). エルデス(1948)によって開発されたq進法展開の非周期性を導く手法を一般の代数体上で発展させ、展開の基数が代数的数であるようなある種の無限級数の集合に対し、無理性や線形独立性に関する結果を得た。これらの数の一部は、ディリクレL関数のフィボナッチ型類似関数の特殊値として表現されるものであり、本研究結果によりフィボナッチ・ゼータ関数の特殊値の研究に関する新たなアプローチを与えることができた。 2.一般約数関数の母関数値の線形独立性(F.Luca氏との共同研究). 近年、F.Luca氏との共同研究において発表した線形独立性に関する一連の論文では、証明の核となる部分において、等差数列上の素数分布に関する定理(Alford, Granville, Pomerance, 1994)を援用していたが、一般約数関数の母関数をはじめとする特別な関数族に対しては、初等的手法によりその部分を解消できることが分かった。この証明の改良・簡易化が、新たな数集合の線形独立性を導く足掛かりとなることを期待している。 3.ヤコビテータ関数値の代数的独立性(C.Elsner氏との共同研究). ヤコビテータ関数の二つの異なる点における値の代数的独立性を明らかにした。現段階において許容される代入値は非常に限定的であるため、今後はこの条件を緩和することが重要である。 上述した3つの研究結果は学術論文として取りまとめ、現在学術雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画として想定していなかった部分(研究実績の概要3)についてまで着手できた上、一定の結果を論文として取りまとめることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においても継続して、ヤコビテータ関数値の代数的独立性についての研究を進める。本研究においては、現在まで得られている結果を包括するような、より大きな関数値集合に対する代数的独立・従属性を決定することが最大の目的である。研究遂行のために関係研究者との情報交換、共同研究を積極的に推し進める。
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Causes of Carryover |
概ね使用済である。物品(数論関係の書籍)の購入額が予定を少し下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通り、関係研究者との研究打ち合わせや研究集会参加を目的とした出張旅費として支出する予定である。
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