2015 Fiscal Year Research-status Report
単項式イデアルや二項式イデアルの極小自由分解及びその不変量
Project/Area Number |
15K17507
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
木村 杏子 静岡大学, 理学部, 講師 (60572633)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | エッジイデアル / 射影次元 / Betti数 / Betti splitting / 極小自由分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
単項式イデアルや二項式イデアルの具体的な自由分解の構成が、本研究課題の主目的である。また、極小自由分解に付随する不変量の決定も本研究課題の目的の一つである。関連する先行結果として、研究代表者自身による、unmixedな二部グラフのエッジイデアルの射影次元の特徴付けがある。当該年度には、very well-coveredグラフに注目して研究を行い、寺井直樹氏、Siamak Yassemi氏との共同研究により、そのエッジイデアルの射影次元の特徴付けに成功した。また、同グラフがコーエン・マコーレーである場合に、そのカバーイデアルについて極小自由分解の構成にも成功した。本結果は論文として取りまとめ、現在投稿中である。さらに、国際会議でも講演を行った。 また、エッジイデアルを調べる上で扱いやすいグラフを開拓することも、本研究課題を効率的に遂行するために重要である。日比孝之氏、東谷章弘氏、土谷昭善氏との共同研究で、誘導マッチング数とマッチング数の一致するグラフを一般化したものを扱っていたが、その研究成果をまとめた論文が当該年度に出版された。 極小自由分解の形はそのベッチ数を知ることでわかる。ベッチ数を計算するための手法として、Betti splittingという概念が Ha や Van Tuylらにより開拓されてきた。この概念を、エッジイデアルの射影次元や regularity、ベッチ数の特徴付けに適用できないかと研究を開始した。まとまった結果はないが、考察結果をセミナーにて発表し、各専門家の意見を求めた。これをきっかけに、寺井直樹氏との共同研究がスタートした。次年度以降にも考察を続ける予定である。 当該年度に行いたかった研究に、Batzies&Welkerの結果を踏まえた算術階数の研究があるが、こちらはほとんど手付かずの状態になってしまった。次年度以降に持ち越して研究を継続する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度行う予定であった研究が、一部手付かずの状態になってしまったため、順調とは言いがたいが、研究成果を少しはあげることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
手付かずとなってしまった研究は、今後の研究の推進において土台となるはずのものであった。そのためこの研究を優先的に行う。また、エッジ環のコーエン・マコーレー性に関する研究等、当初予定されていた研究も同時進行で行う。
|
Causes of Carryover |
助成金は、主に出張旅費として見込んでいた。しかし、妊娠したため、出張を控え気味にせざるを得なかった事が大きい。また産休、育休のため研究を中断したことにもよる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究再開後は当初の目的通り研究費を使用する。中断期間が1年を超える予定なので、研究期間の延長を申請する予定である。余剰分は、その延長した年での研究費に繰り越す予定である。
|