2019 Fiscal Year Research-status Report
単項式イデアルや二項式イデアルの極小自由分解及びその不変量
Project/Area Number |
15K17507
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
木村 杏子 静岡大学, 理学部, 講師 (60572633)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エッジイデアル / ベッチ数 / regularity / $h$-多項式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的の一つに、エッジイデアルのベッチ数の特徴づけがあるが、これに関連することとして、当該年度においては、主にエッジイデアルの剰余環のregularityと$h$-多項式の次数に着目した研究を行った。日比孝之氏、松田一徳氏、Adam Van Tuyl氏と共同で、グラフの頂点数を固定した際のこれらの不変量の取りうるペアについて研究を行った。その結果、そのようなペアの集合を整凸多面体で挟むことができた。また、Cameron-Walkerグラフに限っては、完全なる特徴づけを与えることに成功した。本研究結果は論文として取りまとめ、雑誌に投稿するとともにアーカイブに掲載した。この研究については、depthやKrull次元を含めた関係や、Cameron-Walkerグラフのベッチ数の決定など、まだ調べるべきものが残っており、今後もこの研究を継続していく予定である。 一方、前年度に日比氏、松田氏との共同研究において得られた結果について、6月に開催された可換環論セミナーにおいて講演を行い、周知を図った。そのほか、「サイエンスカフェ in 静岡」において、一般市民向けに本研究課題の内容に関して講演を行う機会も得た。 また、研究実施計画に記載した通り、9月に「組合せ論的可換代数オータムセミナー」と題した研究集会を開催した。柳川浩二氏にsquarefree加群とその応用について、大杉英史氏にトーリックイデアルと代数統計について、宮崎充弘氏にHibi環について入門的な講演をお願いし、そのほか4名の専門家に最近の研究結果についての講演をお願いした。勉強会の色濃い研究集会となったが、研究代表者だけでなく他の参加者にとっても刺激的な研究集会となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
少しずつ研究成果は出ているものの、本研究課題の根幹となる、スクエアフリーな単項式で生成されたイデアルの自由分解とup to radicalな生成元との関係に関する研究について、まだ成果が得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた、スクエアフリーな単項式で生成されたイデアルの自由分解とup to radicalな生成元との関係に関する研究を進める。また、エッジイデアルのベッチ数に関する研究について、Cameron-Walkerグラフに対象を絞ったり、depthやKrull次元など他の不変量も考察するなど、これまでの研究で出てきた新たな課題に関連付けながら取り組む。
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Causes of Carryover |
研究集会開催において、当初の計画よりも旅費を節約できたため、次年度使用額が生じた。 次年度には、海外を含む出張をいくつか予定している。当該助成金は、次年度分として請求した助成金と合わせて、それらの出張費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)