2015 Fiscal Year Research-status Report
無平方数でない整数の分布及び新約数問題の応用に関する研究
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15K17512
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
南出 真 山口大学, 理工学研究科, 講師 (80596552)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 無平方数ではない整数 / Buchstab 恒等式 / 約数問題・円問題の微分化 / Hardy の問題 / ゼータ関数の導関数 / ゼータ関数の導関数の二乗の近似関数等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
大きい素因数を持つ, 無平方数ではない整数, 及びk-free ではない整数の個数についての上からの評価式を得た. それを日本数学会の秋季総合分科会で講演した. この問題の前身であるBuchstab 恒等式についての論文が NNTDM に出版を受理された. ガウス円問題の微分化について(新約数問題から派生する問題)は, その誤差項に対して, 有限型ヴォロノイ公式を得た. さらにその二乗平均値の結果も得た. その成果は, 日本数学会秋季総合分科会で講演した. これについては研究協力者の方と共著としてまとめ現在投稿中である. この研究の基は, リーマンゼータ関数の導関数の二乗を考えたときの, 数論的関数の研究であるが, その研究に関連してリーマンゼータ関数の導関数の4乗平均を考えると, 新たに関連する数論的関数を考える必要がわかった. それを制限約数関数と名付け, その平均挙動の誤差項についても研究を行い, 共著論文を書いた. この論文は J. Indian Math. Soc. に出版を受理された. 新約数問題においては, リーマンゼータ関数の一階導関数の二乗のディリクレ級数の係数の平均挙動の誤差項についての一乗平均値定理を得た. また, それに関するいくつかの定理を示し共著論文にまとめた. この成果は日韓整数論セミナー及び日本数学会の年会で発表した. 論文は JMAA から出版された. リーマンゼータ関数の導関数の2乗の近似関数等式の研究では, Titchmarsh の言う exact formula に相当するものを得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きい素因数を持つ, 無平方ではない整数及び k-freeではない整数の分布の上からの評価を得た. ガウス円問題の微分化については, リーマンゼータ関数, ディリクレ L関数 (法 4) の微分の積を考え, その級数の係数 P(n) の平均挙動, その誤差項の有限型ヴォロノイ公式を得た. また, その公式を用いて, 誤差項の二乗平均値定理も得て, 論文にまとめて現在投稿中である. 約数問題の微分化(新約数問題)では, リーマンゼータ関数の導関数の4乗平均値定理を背景にして, 約数関数 d(n) (n の約数の個数) に制限を付けた制限約数関数を新たに導入し, その平均挙動を求めた. また, その誤差項についてもいくつかの性質を求め, 論文にまとめた(研究協力者の方との共著). これは, Journal of Indian Mathematical Society に受理された. また, 新約数問題の主たる研究テーマであるリーマンゼータ関数の一階導関数の二乗をディリクレ級数表示した時の係数 D_{(1)}(n)の平均挙動の誤差項 Δ_{(1)}(x)の一乗平均を一般ベッセル関数を含む無限級数で表す公式を完成させた. また, この一乗平均(積分の平均)と離散和としての平均との差について公式を得た (Hardy の問題の類似). これらをまとめた論文は Journal of Mathematical Analysis and Applications に掲載された(研究協力者の方との共著).リーマンゼータ関数の一階導関数の二乗の近似関数等式の研究では, それを導く為のexact formula を得た. 計画書の研究順序と入れ替わった部分もあるが, 着実に研究成果を得ている.
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Strategy for Future Research Activity |
大きい素因数を持つk-free ではない整数の分布の研究では, 上からの評価を得たので今後は下からの評価を, Buchstab 恒等式を用いて得ることを目指す. また, これまでに得ている Buchsatb 恒等式の類似の応用についても考察したい. 28年度5月に海外の研究協力者の方が山口大学に滞在するので, 対面での意見交換を行う予定である. リーマンゼータ関数のk 階, l 階導関数の二乗のディリクレ級数表示の係数 d_{(k,l)}(n) の平均挙動の誤差項について, 有限型ヴォロノイ公式及び二乗平均値を求める. また, 微分円問題の誤差項の一乗平均についても考察する (上記のΔ_{(1)}(x) の一乗平均の研究成果の類似). また, この新約数問題では, 有限型ヴォロノイ公式しか得られていないので, 無限級数型のヴォロノイ公式を得るために, 研究協力者の方との定期的に意見交換を行いたい. リーマンゼータ関数の一階導関数の二乗の近似関数等式の研究では, exact formula が得られたので, そこから, Titchmarsh の方法を適用してその近似関数等式を導きたい. また, この研究のさらなる発展をにらみ近似関数等式の応用:ゼータ関数の導関数の4乗平均についても今後の課題を検討したい.
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Causes of Carryover |
研究協力者の方に山口大学に来て頂くことが多かった為に旅費が未使用.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究協力者との研究打ち合わせの為の旅費, 研究成果発表の為の学会に参加するための旅費に使用したい.
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