Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の一つの大きな目標は, リーマンゼータ関数の導関数の二乗の近似関数等式を完成させることである. リーマンゼータ関数の二乗の近似関数等式はゼータ関数の理論における重要な公式で, ハーディーとリトルウッドにより示された. その後, その公式の誤差項はテッィチマーシュにより改良された. ホールは, リーマンゼータ関数の導関数の近似関数等式をハーディー・リトルウッドの手法により求めたが, それをテッィチマーシュの手法を用いて自身の結果の改良という問題を示唆した. この問題について, 肯定的に解決し論文投稿していたが, 論文修正を求められたため, それらの修正に専念した. 論文修正後に, この論文は受理された. また, 微分約数問題もこの研究課題の主たるテーマであるが, その発展である微分円問題に関するチャウラ・ヴァルム公式についての研究論文も受理された. この研究の内容は, 日本数学会・秋季総合分科会(山形大)にて講演した. また, 微分約数問題から派生した数論的関数の制限付き和の研究も続けた. 特に, 山口大の井川祥彰氏と自然数 n の約数で, k と互いに素であるものの最大数 f(n)の平均について考え, 公式を得た. この公式を得る過程で, 現れるある数論的関数の制限付き平均の誤差項についても研究し, 誤差項の一乗平均を得た. これらの成果を日本数学会の中国四国支部例会にて2講演行った. また, 谷川好男氏(名古屋大), Debika Banerjee 氏(IISER, インド)と二重ゼータ関数の大きさについての研究を行い, 2018年3月の日本数学会・年会(東京大学)にて研究成果の講演を行った. この年会では, k-free 整数の制限付き平均についても講演した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リーマンゼータ関数の微分の二乗の近似関数等式, 微分円問題についての論文が受理されこれらの研究は進んでいる. また, 関連する数論的関数の制限付き和についても, Ritika Sharma 氏(HRI, インド)を山口大に招聘し, 井川氏と共に議論し, 研究が発展している.
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Strategy for Future Research Activity |
井川氏, Sharma 氏と議論した数論的関数の制限付き和の研究について論文にまとめる. また, 完成したリーマンゼータ関数の導関数の二乗の近似関数等式の応用, 例えば, ゼータ関数の導関数の4乗平均などを考える. また, 残っている無平方数ではない整数の研究を進めたい.
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