2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17514
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
岡崎 亮太 福岡教育大学, 教育学部, 講師 (20624109)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有向マトロイド / 極小次数付き自由分解 / 組合せ論的可換代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の先行研究により,アフィン有向マトロイドの有限複体のコーエン=マコーレー性の特徴づけを行ったが,本年度はこの研究を更に進め,以下の結果を得た. (1) アフィン有向マトロイド M の有限複体 X がコーエン=マコーレーならば,X は境界をもつホモロジー多様体であり,その各局所ホモロジーについて,トップホモロジーは 0 か階数 1 である.また,X の境界は境界をもたないホモロジー多様体となる. (2) M のマトロイド・イデアル I について,M がユニフォームであることと,I がコーエン=マコーレーかつ線形極小自由分解を持つことが同値である. 本研究の究極の目標は X がいつ閉球体と同相であるか特徴づけを与えることにあるが,(1) の結果は「X がコーエン=マコーレーならば,ホモロジーや局所ホモロジー的には X は閉球体と同じである」ことを意味しており,この事実とアフィン有向マトロイドや X の組合せ論な構造を加味すると,当初の予想「X が閉球体と同相である為の必要活十分条件は,X がコーエン=マコーレーであることである」の大きな根拠となる.本結果は先行結果と纏めて論文として執筆し,本年度に専門誌に投稿しており,現在,査読の結果待ちである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた研究成果 (1) の結果は,本研究の目標の一つである「アフィン有向マトロイド M の有限複体,即ち,M から定まるマトロイド・イデアルのcellular 極小自由分解に付随するCW 複体 X の構造の決定」に大きく寄与するものであり,究極の目標でもある予想「X が閉球体と同相である為の必要活十分条件は,X がコーエン=マコーレーであることである」の証拠となる. 上述の予想を解決するには,X がシェラブルであることを示すことが有効である.その為には,既に X が閉球体であることが知られているユニフォームの場合の解析が有効であるが,研究成果 (2) はこの解析に重要な役割を果たすと期待できる.また,本研究結果は,これまで知られていなかったアレクサンダー双対性とユニフォームなアフィン有向マトロイドの関連性について示唆しており,今後の発展が期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で挙げた研究成果 (2) で新たな方向性として得られたアレクサンダー双対性とユニフォームなアフィン有向マトロイドの関連性について,更に詳細な解析を集中的に行い,ユニフォームな有向マトロイドの有限複体がシェラブルであることをイデアルの代数的・組合せ的構造から示すことを目標に研究を行う. また,現在,多項式環上の有限の長さを持つ次数付き加群の自由分解の構成に関し,新たに結果が得られそうな感触があるので,まずは有限の長さを持つ場合について,理論を完成させる. 上述の研究が一区切りつけば,ボレル固定イデアルの極小自由分解に付随する CW 複体とアソシアヘドロンとの関連性に関する研究に本格的に着手する.
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Causes of Carryover |
消費税等の関係で想定費用から端数に誤差が生じたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は 230 円未満であることから,次年度の予算執行の際の消費税等々の端数の誤差内に吸収されるものと思われる.想定した次年度の使用計画通りに予算を利用していく予定である.
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Research Products
(3 results)