2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K17518
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高井 勇輝 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 特任助教 (90599698)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Hilbert 保型形式 / 半整数ウエイト保型形式 / L-関数の特殊値 / quaternionic 保型形式 / Jacquet-Langlands 対応 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成 28 年度は、1. Hilbert 保型 L-関数の中心値での mod p での非零性に関する研究, 2. Hilbert 保型形式の explicit な決定条件についての研究を行った. 1. については, mod p での非零性を証明する上で Shimura 対応の逆像の Fourier 係数の整数性をどう保証するか, が一つの障害であった. が, Shimura による Hilbert 保型形式の period を使って有理性を示し, Serre-Stark により知られていた半整数ウエイト保型形式の bounded denominator principle を我々の設定で示すことで回避でき, 結果として, ある種の仮定のもとで, Hilbert 保型 L-関数の二次捻りの族の中で mod p で零で無いものの個数の下からの評価を得ることに成功した. 2. について. 与えられた2つの一変数保型形式は, その Fourier 係数の最初の有限個が一致していれば, 関数として一致しているということが Hecke により知られてた. その mod p 類似も Sturm に得られており, 保型形式や Galois 表現の比較や数論などへの多くの応用を持つ. Hilbert 保型形式に対しての同様の結果は, 以前, 研究代表者により示されていたが, いくつ比較すれば十分であるかを表す bound が weight と level にどう依るかはわかるが, 具体的には計算が困難な定数も含み, 実用性に乏しかった. そこで, quaternionic 保型形式に対して, 志村曲線の代数的な点での展開係数で比較する方法を考え, 簡単なモデルとして, 複素数体上の時に, 具体的な判定法を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定では, この段階で Hilbert 保型形式に付随するアーベル多様体の Tate-Shafarevich 群の位数の非可除性への応用まで 終えたいと考えていたが, そこまで完成しなかった. 保型 L-値の mod p 非零性を示すために, 良い period の構成を必要と考え, 遠回りをしてしまったことが要因である. ただ, その研究がきっかけで, 当初予定していなかった Hilbert 保型形式の具体的に計算可能な判定条件を得る足がかりを得られたことは良い点であった.
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Strategy for Future Research Activity |
上記 1. での結果を使うと, BSD 予想を仮定するば, 対応するアーベル多様体の二次捻りの中で Tate-Shafarevich 群の p-part が自明なものの個数の下からの評価を得ることができる. しかし, ここで考えている状況は, Euler system などにより BSD 予想が比較的わかっている状況であるので, Zhang らによる Gross-Zagier の公式や Heegner point の Euler system の総実版を使えば, unconditional な結果が得られると期待され, 次年度, 詳細を詰める予定である. 上記の 2. で挙げた Hilbert 保型形式の explicit な決定条件については, 今後, mod p での判定法の詳細を詰め, Jacquet-Langlands-Shimizu 対応を使うことで, どの程度の計算で, 元の Hilbert 保型形式を比較できるかを検証していく. これらの研究と並行しながら, 予定していた Bloch-Kato 予想に関する研究を進める.
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Causes of Carryover |
Emory 大学の Ken Ono 教授との共同研究に関する打ち合わせの為の渡航費として使用する予定であったが, 家庭の事情, 予定の都合などもあり, 行くことが出来なかったことが理由として挙げられる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は, 国内の共同研究者との研究打ち合わせやこれまでの結果などについての講演, 情報収集の為に使用しつつ, これまで中断していた国外の教授との共同研究を再開し, 打ち合わせのために海外渡航を数回行うことに使う予定である.
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Research Products
(3 results)