2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17521
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大橋 久範 東京理科大学, 理工学部数学科, 講師 (40547006)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | エンリケス曲面 / 自己同型 / 偏極 / モジュライ |
Outline of Annual Research Achievements |
自己同型群が有限となる7種類のエンリケス曲面のうち、II型と呼ばれている一次元族の新しい6次曲面による射影表示について、線型な自己同型群作用、そのモジュライ曲線のモジュラー表示、楕円モジュラー曲面の二次捻り(quadratic twist)による再構成などについてまとめ、京都大学(7月)、津田塾大学(8月)、大沼国際セミナーハウス(8月)、高知大学(10月)の研究集会で話したところ、多くの方から有益な助言をもらうことができ、内容を増やすことができた。(一方、これと関係の深い、正標数における「自己同型群が有限となるエンリケス曲面の分類」の完成が他のグループによりアナウンスされたのは印象深かった。これは2017年3月にカナダでの研究集会New Trends in Arithmetic and Geometry of Algebraic Surfacesに科研費で参加したときに知った。) また、エンリケス曲面の(無限位数)自己同型の位相的エントロピーの問題についても考察した。これは9月から外国人研究者と共同で始めたところだが、名古屋大学(12月)で講演したところ興味を持ってもらうことができ、非常に有力な共同研究者を得ることができた。現在進行中であるが、その主定理からは、エンリケス曲面の自己同型のコホモロジー表現の正標数還元に関する深い制限が読み取れる。今後これを有限・無限の自己同型群の研究に応用していければ望ましい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
直接有限群が出てくる方向性とは少し違う観点のエントロピーについて考察したため、考察が遅れた側面がある。これは、直接的に有限群を分類する方針が、一部行き詰っているためである。(今の時点では、とても難しい部分があるように見える。)一方、上記の通り、エントロピーの考察からやはり元の問題にも通用する命題が見えてきそうなため、結果的に応用につなげることができれば喜ばしい。
|
Strategy for Future Research Activity |
正標数における、自己同型群が有限なエンリケス曲面の分類が完成した(様子の)ため、その内容の把握にも努めつつ、より魅力的な応用やテーマにつなげて行きたい。有限群の分類定理も目指す。
|
Causes of Carryover |
海外出張において滞在費を先方負担してもらうことができたため経費が減少した。また、プリンタがなんとか動いているのでまだ買い換えていない。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
プリンタは買い換えたいが、インクトナーがまだあるため、もうしばらくこのまま利用する。今年度はより精力的に学外での研究活動も行いたい。
|