2018 Fiscal Year Research-status Report
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15K17521
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大橋 久範 東京理科大学, 理工学部数学科, 講師 (40547006)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エンリケス曲面 / エントロピー / サレム数 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に投稿して受理された論文「On automorphisms of Enriques surfaces and their entropy」が出版された(9月):Math. Nachr. 291 (2018), no. 13, 2084--2098.この論文に関連して、雑誌「数理科学」における特集「カラビ・ヤウ多様体」に記事を書く機会を得て、一般向けの概説記事を書いた。これを読んでくれた一部の研究者や、大学で教えている学生たちから、記事についての良い感想をもらうことができたのは喜ばしかった。一方、論文で主目標としていたエンリケス曲面に対する最小エントロピー問題については、夏前頃に、最小値を確定させたとする(他著者による)プレプリントが現れてしまった。次の目標として、プレプリントを元に、最小エントロピーを持つ写像の射影的な構成の可能性についても少し考えていたが、結論は出ていない。
いまひとつの話題として、エンリケス曲面の位数4の自己同型の分類については、ノートをまとめて論文を書き始めた。基本的な内容はよくできていて、楕円曲線束、格子理論などを応用するおもしろい議論を含んでいると思うが、存在・非存在が確定していない一つの場合が依然残ってしまっている。これについて海外の研究者とも議論してみたがわからなかった。これに関連した議論の中で、一般のK3曲面上のシンプレクティック自己同型についての少しおもしろい事実を証明できたのがこちらの進展であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
位数4の自己同型の分類についてはいくつかのアイデアでかなりの部分がうまくいったものの、最後に残った「孤立固定点のみ」の場合の例の構成が非常に難しく、うまくいっていない。周辺事項はかなり理解できているが、まだ問題の難点が残ってしまっているように感じられる。
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Strategy for Future Research Activity |
射影的構成法以外に、トレリの定理を経由した間接的構成も試してみる必要があると感じられる。一方で、国内外の研究者にアイデアを聞きに行きたいと思う。
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Causes of Carryover |
9月に予定されていた札幌での研究集会の直前に北海道で震度7の大地震が起きて、集会が中止になったため、一部の費用が浮いた。次年度に、調子の悪いパソコンを買い換えたい。
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Research Products
(4 results)