2016 Fiscal Year Research-status Report
Vojta予想解決に向けた代数多様体上の整数点と数論的力学系の研究
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15K17522
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安福 悠 日本大学, 理工学部, 准教授 (00585044)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ボエタ予想 / 整数点 / 有理点 / 数論的力学系 / 力学系ガロア表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度の研究実施計画の通り,本年度は,開代数多様体の整数点の稠密性の研究をさらに進展させた.特に,射影平面の代数曲線の補集合に関しては,小平次元が0以下の場合は,稠密になる場合を完全に特徴づけることができ,小平次元が1の場合も多くの場合を分析できる理論を構築した.このAaron Levin氏 (ミシガン州立大学)との共同研究については,国際研究集会などで講演を行い,結果をまとめた論文はTransactions of the American Mathematical Society に掲載が決定した.
軌道の数論的性質を分析する力学系に関しては,力学系に関連するガロア理論の研究集会開催時からRobert Benedetto氏 (アムハースト大学)などと共同研究を進め,ある3次多項式の多重合成に付随するガロア群の完全決定を行うことに成功した.これをまとめた論文は現在投稿中である.このような結果は今まで2次多項式に限定されていたので,同じような手法で分析できる他の例の構築を行う共同研究を継続中である.
整数点の分析や軌道の整数論的性質の分析には,ディオファントス近似の金字塔の一つであるSchmidtの部分空間定理がよく適用されるので,この効果的な活用方法の開拓や,改良が望まれる.ディオファントス方程式への応用方法についてAlan Filipin氏 (ザグレブ大学)から知見を得,関数体や正則写像の場合にできる手法についてLiang-Chung Hsia氏 (台湾師範大学)とJulie Tzu-Yueh Wang氏 (中央研究院)から知見を得ることが出来た.引き続き共同研究をしていく.ディオファントス近似の精密化については,ドイツOberwolfach研究所で行われた勉強会で最新の知見を得られたので,整数点や力学系への応用を今後目指していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究業績の概要」の欄でも述べた通り,射影平面の代数曲線の補集合に関して,整数点の稠密性を特徴づける論文の掲載が決まったこと,及び3次多項式の多重合成に付随するガロア群を決定する論文を執筆できたこともあり,研究はおおむね順調に進んでいる.現在投稿中・準備中の論文もあるので,着実に研究は進んでいるといえる.また,国際研究集会や国内外でのセミナーで講演を行うだけでなく,国際研究集会などの報告書を3編,整数論に関する教科書を一冊執筆したこともあり,研究成果を分かりやすく解説する機会も得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」の欄でも述べた通り,研究計画通りおおむね順調に進んでいるので,当初の研究実施計画に沿って研究を行っていく.28年度に訪問した台北には,29年度も訪問予定なので,Hsia氏・Wang氏と,Schmidtの部分空間定理のより巧妙な適用方法や改良を見つけることで,Vojta予想の新しい場合の解決を目指す.また,力学系に関しては,p進uniformizationやvaluative treeの概念を用いて近年研究が進んでいる力学系Mordell-Lang予想の研究に取り組んでいく.28年度までと同様,海外への出張や,国内外の研究者の招へいを通して,幅広く最新の知見を得ていく予定である.
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Causes of Carryover |
元々招へいするはずだった海外の研究者のうちの一部の方のご都合がつかず,28年度の共同研究は電子メールやSkypeを通して行ったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実際にお会いして一緒に研究考察を行うことから得られる独創性は代えがたいので,今年度に招聘する予定である.
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[Presentation] 位相力学系の紹介2016
Author(s)
安福 悠
Organizer
八王子数論セミナー
Place of Presentation
八王子セミナーハウス (東京都八王子市)
Year and Date
2016-08-24 – 2016-08-24
Invited
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