2017 Fiscal Year Research-status Report
Vojta予想解決に向けた代数多様体上の整数点と数論的力学系の研究
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15K17522
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安福 悠 日本大学, 理工学部, 准教授 (00585044)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Vojta予想 / 数論的力学系 / 整数点 / 力学系ガロア表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度の研究実施計画の通り,Vojta予想に関する定量的研究を行った.特に,射影平面からの多重ブローアップで得られる曲面に関しては,ある条件を満たす因子に関しての局所高さ関数の不等式を得ることができ,このような曲面に関するVojta予想を解決した.この結果は単著論文としてまとめ,Forum Mathematicumに掲載された.また,数論的力学系に関しては,多重合成による逆像から作られる木のガロア表現を,ある3次多項式に関して詳しく分析することができ,その結果,軌道の点の素因数分解に登場する素数の密度を言及できた.この論文はRobert Benedetto氏 (Amherst大)などとの共著で,Research in Number Theoryに掲載された.
また,Banff International Research Stationで行われたディオファントス近似の国際研究集会に於いて,Thomas Tucker氏 (Rochester大)と継続研究を行い,可換な2写像における軌道上の整数点の有限性を証明できた.力学系的なガロア表現や,軌道の点の素因数分解や整数点に関しては,招へいしたWade Hindes氏 (ニューヨーク市立大)と共同研究を行い,有理点のみならず有界次数の点まで拡大しても軌道上の整数点が一様有界である結果を得ることができ,現在論文を執筆中である.Julie Tzu-Yueh Wang氏 (中央研究院)とLiang-Chung Hsia氏 (台湾師範大)とは,台湾大学で開かれた整数論の国際研究集会の際に,Aaron Levin氏 (ミシガン州立大)が近年構築した乗法群のべき上での最大公約数の理論を,曲面上のVojta予想の解決に活用することに関して研究討議を行い,論文を準備中である.
これらの研究業績に関して,国内外の国際研究集会や国内のセミナーで講演を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究業績の概要」の欄でも述べた通り,Vojta予想の特別な場合を解決した単著論文や力学系ガロア表現の共著論文が掲載されたこと,及び軌道の整数点に関して一様有界性や2写像の場合の結果を得ることができたこともあり,研究は順調に進んでいる.また,これらの研究成果について講演する機会にも恵まれ,参加者からの質問などを通して研究課題に関しての視野を広げることもできている.
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」の欄でも述べた通り,研究計画通りおおむね順調に進んでいるので,29年度までに得られた結果のさらなる発展や,継続研究を中心に取り組んでいく.特に, Vojta予想と整数点に関して共同研究を行う予定だった海外の研究者のご都合が29年度にはつかなかったので,30年度に招へいを実現させて継続研究を進展させたい.29年度までと同様,国際研究集会への出張や国内外の研究者の訪問・招へいを通して,幅広く最新の知見を得ていく予定である.
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Causes of Carryover |
(理由) 元々招へいする予定だった海外の研究者のご都合がつかず,29年度の共同研究は電子メールやSkypeを通して行ったため. (使用計画) 実際にお会いして一緒に研究考察を行うことから得られる独創性は代えがたいので,今年度に実施する予定である.
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