2017 Fiscal Year Research-status Report
退化によるコーエン・マコーレー加群の研究と表現型理論への応用
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15K17527
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
平松 直哉 呉工業高等専門学校, 自然科学系分野, 准教授 (20612039)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コーエン・マコーレー加群 / 退化 / 行列表現 / 加算表現型 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度より考察している行列表現によるコーエン・マコーレー加群の退化について、引き続き検討した。既得の退化に関する必要条件を用いて、A型の加算表現型をもつ超曲面環で次元が2の場合において、直既約なコーエン・マコーレー加群の退化を完全に決定することができた(平成29年度には1次元の場合に結果を得られている)。以上の内容について、第50回環論および表現論シンポジューム、第39会可換環論シンポジウムで講演を行った。またその退化の関係を表す必要条件について、これまでは超曲面環の場合のみを考えていたが、完備局所環で等標数の場合に適用できるよう結果を改良した。 超曲面環の低次元で得られた結果を高次元化することを目標に、クネーラーの周期性による持ち上げと、それによる退化の関係の振る舞いを考察した。ある特定の超曲面環については、コーエン・マコーレー加群の間に退化の関係があるとき、クネーラーの周期性によって持ち上げた対応する加群の間には再び退化の関係があることがわかった。この特定の超曲面環にはA型の加算・有限表現型やクネーラーの周期性を2回以上適用した超曲面環が含まれる。ここでクネーラーの周期性は安定圏の間の圏同値を与えるが、一般に、安定圏での退化と通常の、従って本課題で考察している退化とは様相は異なることを注意しておく。以上のことについて、岡山大学の吉野雄二氏、名古屋大学の高橋亮氏との共同研究として論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
加群の行列表現を用いて退化の関係を計算することは研究実績でも述べたように、有効な方法であった。しかしながら多くの場合には複雑な計算が必要である。そのため、退化の関係による表現型の考察の具体例の計算において、多くの時間を要している。また当初計画していた退化次元と三角圏の次元との比較においても、特定の状況下ではうまく評価できない(自明な評価になってしまう)ことが判明した。従って、当初の研究計画の見直し等が必要になったため、本課題の進捗状況は遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に引き続き、退化の関係に関する新たな不変量の構成を目的に、コーエン・マコーレー加群のModule varietyの幾何学的な情報とも関連付けを検討しながら考察を進める。また行列表現での考察を踏まえ、超曲面環での行列分解の段階で退化の関係が記述できる方法がないか検討する。 一方でこれまでの考察を次数付き加群の場合に適用し、次数付き加群の観点から本課題について検討する。
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Causes of Carryover |
研究の遅延等により計画に見直しが必要になったことと、本務の関係からいくつかの出張を取りやめたため使用額が生じた。平成30年度に本課題のに関係する外国出張の予定があるのでその予算として、また関連の研究者との研究打ち合わせを行う出張旅費として使用する計画である。
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