2016 Fiscal Year Research-status Report
アレクサンドロフ空間の崩壊現象及び距離カレントの幾何学
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15K17529
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
三石 史人 学習院大学, 理学部, 助教 (80625616)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アレクサンドロフ空間 / リプシッツ・ホモトピー / 鈍角定数 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は, 京都大学の山口孝男氏との共同研究により以下の結果(1),(2)を得た.
(1)アレクサンドロフ空間の体積非崩壊の族に対して, ある正の数εが存在して, もしその族の中の二つのアレクサンドロフ空間の間のグロモフ・ハウスドルフ距離がεよりも小さければ, グロモフ・ハウスドルフ距離を実現する近似写像は, それに, 写像の各点毎の距離の意味でτ(ε)近い様な, リプシッツ・ホモトピー同値写像によって置き換えられる. ここで, τ(ε)はεが零に近づくとき零になる正値関数である. 特に, 二つの空間がグロモフ・ハウスドルフ距離の意味で近ければ, それらはリプシッツ・ホモトピー同値である事が従う. 更に, この結果に現れるリプシッツ・ホモトピー同値写像は, アレクサンドロフ空間の正則な領域上では, リプシッツ同相写像として取れる事も示した. この結果のひな型は前年度に完成していたが, 今年度は精密な形でプレプリントにし, 投稿を行った.
(2)アレクサンドロフ空間の比較角の概念を用いて, 鈍角定数なるものを定義した. 鈍角定数が零に近づく事と, コンパクトアレクサンドロフ空間の体積が零に近づく事が同値である事を証明した. ただし, ここで, 考えているアレクサンドロフ空間の曲率の下限は一様に抑えられている. また, 非コンパクト非負曲率アレクサンドロフ空間に対して, その無限大からの鈍角定数が零に近づく事(零である事)と, その体積増大度が零に近づく事(零である事)が同値である事を証明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ある方向に考えていた問題がとても難解そうだという事が明らかになるまでに時間を費やしてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
新しく定義した鈍角定数の振る舞いや性質について調べる. またアレクサンドロフ空間と距離カレントの関係も引き続き研究する.
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Causes of Carryover |
PCを買い替える予定があったが, 当該年度中はまだ使用に耐えたので, 購入を見送った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は海外(スペインなど)の研究集会に行く予定なので, そこで大半を使う予定である. またPCなどが古くなってきたので, それを買い替える予定もある.
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