2016 Fiscal Year Annual Research Report
Research on homotopy theory and reconstruction of spaces using categories
Project/Area Number |
15K17535
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田中 康平 信州大学, 学術研究院社会科学系, 助教 (70708362)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 圏 / ホモトピー論 / 離散モース理論 / LSカテゴリー / オイラー積分 / センサーネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,圏を用いた組合せ的ホモトピー論について主に3つの事柄,空間の再構成,不変量の導入,ホモトピー論の発展を柱に研究を進めた。以下で,それぞれについて得られた結果の概要を述べる。 (1)まず圏を用いた空間の再構成の理論では,離散モース関数からそのフローと臨界胞体の情報により圏(フロー圏)を構成し,その分類空間によって元の空間のホモトピー型が回復できることを示した。ここで用いたフロー圏は,フローの順序構造を込めた高次の圏構造を持っており,それらの情報が再構成に必要であることが分かった。 (2)次に組合せ論的不変量の導入については,半順序集合に対する組合せ論的LSカテゴリーを定式化した。半順序集合は各頂点間に矢印(射)が1つしかない特別な圏として考えられる。また,三角形で分割された空間(単体複体)に対しても,同様の組合せ論的LSカテゴリーを導入し,分類空間と面順序集合を考えることにより,互いに対応していることを示した。さらに,この新たな不変量と古典的なLSカテゴリーとの対比を行い,評価式を導いた。古典的なLSカテゴリーは,(滑らかな)モース関数の臨界点の個数の上界になっていた。この事実が組合せ論的LSカテゴリーと離散モース関数についても成立することを確かめた。 (3)組合せ的ホモトピー論については,センサーネットワーク理論への応用が大きな進展だった。組合せ論的オイラー標数に関する積分理論を構築し,これを用いてネットワークグラフ上に散らばるターゲットの総数を数え上げる方法を確立した。さらに,この理論を実用的なレベルに押し上げるため,数え上げ手法の効率化,最適化,そして信頼性についても,ホモトピー論の視点から考察した。組合せ的ホモトピー論の工学,情報学への実用的な応用として有意義であると考えられる。
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