2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K17543
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
澁谷 一博 広島大学, 理学研究科, 准教授 (00569832)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 微分式系 |
Outline of Annual Research Achievements |
微分幾何学における微分式系(多様体上の接空間の部分束)の理論、田中理論を用いて微分方程式の幾何学的研究を行った。特に2独立変数1未知関数2階偏微分方程式である双曲型f-Gordon方程式について研究を行った。f-Gordon方程式は波動方程式、リュービル方程式、Sine-Gordon方程式、Klein-Gordon方程式などの数学的にも物理的にも重要な方程式を例として含むクラスである。一般に双曲型2独立変数1未知関数2階偏微分方程式にはモンジュ特性系と呼ばれる接触変換で不変な部分束が二つ定義される。 モンジュ特性系がある条件を満たすときに元の微分方程式はダルブー可積分であると言われ、その場合には滑らかな解がの構成法が知られている(重ね合わせの原理)。
それに対し、双曲型f-Gordon方程式のモンジュ特性系の構造を明らかにして、それによりダルブー可積分である双曲型f-Gordon方程式を完全に決定した。また接触変換(変数変換)の下での標準形も決定することが出来た。すなわち、ダルブー可積分である双曲型f-Gordon方程式は接触変換で波動方程式、リュービル方程式に標準化されるものに限る、ことを明らかにした。また、特異性の観点から、通常のダルブー可積分性はモンジュ特性系の正則性を導くことが分かり、これによりダルブー可積分性から特異解が構成されるように一般化されたダルブー可積分性を定義して、その性質を明らかにすること、特にベックルンド変換との関わりを調べることが重要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初の計画通り進んでいて、研究業績で述べた成果が出ている。 その理由は以下になる: ・研究協力者の訪問などにより議論を重ねることで研究が進んだ。 ・研究集会で講演、参加することにより他講演者、参加者から幅広い助言を受けることで研究が進んだ。 ・書籍等により本研究に必要な資料、情報を集めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を踏まえて以下に取り組む: ・n独立変数1未知関数2階偏微分方程式に対する接触変換の構造を明らかにする ・上記により、接触変換の下で不変な微分方程式のクラスを見つける。 ・上記で見つけたクラスの幾何学的な性質を明らかにする。 ・上記の結果を応用する(変分問題など)。
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Causes of Carryover |
予定より研究が早く進んだため、研究協力者との研究打ち合わせが当初の回数より一回少なくて済んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究協力者との打ち合わせ
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