2018 Fiscal Year Research-status Report
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15K17543
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
澁谷 一博 広島大学, 理学研究科, 准教授 (00569832)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 微分式系 / フィンスラー幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
微分幾何学における微分式系、外微分式系の理論を用いて、微分方程式の幾何学的研究とフィンスラー幾何学の研究を行った。 外微分式系(多様体上の微分形式全体の成す代数内で外微分による作用で閉じたイデアル)の理論は多様体上の接空間の部分空間の研究に端を発する理論であり、微分方程式、特に非線形偏微分方程式を統一的に扱う理論として優れている。この理論を数学的のみならず応用上も重要であるモンジュアンペール方程式に応用した。古典的な2階2独立変数1未知関数のモンジュアンペール方程式の外微分式系を用いた定式化、多変数化は以前から知られているが、これに対し、接触変換の視点からモンジュアンペール方程式は"ある行列の小行列の和の形で表される偏微分方程式"であることに着目し、それにより幾何学の立場から統一的に一般化(高階化、多未知関数化、連立化)することに成功した。 フィンスラー幾何学はユークリッド幾何学、リーマン幾何学の一般化で、各点の接空間にノルムが与えられた空間を研究する分野であり、応用上も、流れのある空間の中での運動を記述する為には不可欠な概念であり、また変分問題の視点からも重要な研究分野である。特に曲率1のフィンスラー曲面を研究した。リーマン幾何学においては曲率1の曲面は球面に限るが、フィンスラー曲面ではその限りではない。しかし、球面以外の曲率1のフィンスラー曲面は具体的な例がほとんど知られていない。そのような中、リーマン幾何学における正曲率Zoll回転面と曲率1のフィンスラー曲面との間の関係性を明示的に記述することにより、豊富な具体例を供給することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は研究業績で述べた成果がでているが、当初の予定と比べると、平成30年7月豪雨の災害により日常生活、日常業務に大幅な被害が出たため、研究計画にやや遅れが出た。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を踏まえて以下に取り組む。 ・一般化されたモンジュアンペール方程式の個別の方程式に対して、詳細な研究を行う。特に分類問題を扱う。 ・一般化されたモンジュアンペール方程式を解の存在、構成法の視点から研究する。
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Causes of Carryover |
平成30年7月豪雨により、自信の所属している広島大学、またその周辺は多大な被害を被った。その為、日常生活、日常業務が復旧するまでに約3か月を時間を要した。その為課題研究が予定通りに進まなかった。また研究協力者も平成30年北海道胆振東部地震により、被害を受けたため、共同研究にも遅れが出てしまった。今年度は上記理由で研究打ち合わせの回数が予定より少なくなってしまったが、次年度では当初の予定通りの回数の研究打ち合わせを重ねて研究成果を出す予定である。
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