2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K17547
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
福永 知則 九州産業大学, 基礎教育サポートセンター, 特任講師 (20647606)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フロンタル / 波面 / 特異点論 / カスプ辺 / ツバメの尾 / カスプ的交差帽子 |
Outline of Annual Research Achievements |
平面・空間曲線の研究については、高橋雅朋(室蘭工業大学)との共同研究において、滑らかな曲線の像が枠付き曲線の底曲線として実現できるための条件を与えた。特に、平面曲線の場合は、フロンタルの像として実現できるための条件に対応する。この結果の系として、平面内の多角形は、フロンタルとして実現できることが導かれる。この結果を用いることによって、多角形に関する研究をフロンタルやルジャンドル曲線の概念を用いて研究することができるようになり、新たな研究の広がりが期待できる。 特異点を持つ曲面の研究に関しては高橋雅朋と共同で、特異点を持つ曲面を扱うための枠組みとして、枠付き曲面の概念を導入した。枠付き曲面に対して、基本不変量を定義し正則曲面の基本定理に対応する定理を証明した。また、枠付き曲面の曲率や不変量を定義し、曲率や不変量と曲面の幾何学的な関係についていくつかの命題を示した。特に、曲面がルジャンドルはめ込みになるための条件や枠付きはめ込みになるための条件を、曲率や不変量を用いて特徴付けた。更に、枠付き曲面で、枠付き曲線に沿ったルジャンドル曲線の一係数族として表される曲面のクラスについて考察した。一係数族に現れる特異点がカスプ辺・ツバメの尾・カスプ的交差帽子になるための条件を、枠付き曲線の曲率とルジャンドル曲線の曲率を用いて特徴付けた。枠付き曲面は局所的にはフロンタルと同値になるが、像だけに注目する場合、フロンタルでない曲面の像でも、枠付き曲面の像として実現できる場合がある。そのような例として、交差帽子を採りあげ、実際に交差帽子と同じ像を持つ枠付き曲面を構成した。更に、不変量や曲率などを計算し、枠付き曲面がフロンタルになっていることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のうち、曲線の位相幾何学的な研究及び発展方程式に関する研究は遅れ気味であるが、 その一方で、本計画の主要部分であった枠付き曲面の研究に関しては、本年度初めて研究成果を国内の研究集会等で発表することができた。従って、この一年間で十分な進展があったと言える。また、発展方程式については専門の研究者との意見交換などは実施しているため、全体的にはおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、枠付き曲面の研究に関して力を入れて行く。特に、カスプ的交差帽子とツバメの尾に関して、ルジャンドル曲線の一係数族として捉え、枠付き曲面の理論を利用して局所的な不変量を構築していく。 また、研究が遅れている発展方程式や位相幾何学的不変量との関係については、国内外の研究者との意見交換を積極的に行い、研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
参加予定だったブラジルでの研究集会 12 th International Workshop on Real and Complex Singularities に参加が出来なくなったため、旅費の使用などが計画通りにいかなかった。また、想定していたよりも必要な書籍が少なかったため、物品にかかる費用が少額になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は研究成果を発表できる成果が増えると思われるので、基本的には旅費に充てたい。また、研究が遅れている曲線の微分位相幾何学的研究や発展方程式の研究を進展させるため、国内外の研究者との研究打ち合わせに使用する計画である。
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