2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17555
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
永安 聖 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 准教授 (90455684)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 逆問題 / 安定性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は,偏微分方程式の逆問題に於ける安定性評価のより精密な解析である。特に,介在物同定の境界値逆問題に於いて,介在物に関する情報が安定性評価に与える影響について調べることである。そのためには,安定性評価を表す不等式の中に現れる定数が,そういった介在物に関する情報にどう依存しているかについて調べる必要がある。しかしながら,現段階では一般的な状況に対してこれを調べるのはまだ非常に難しいと思われる。そのため,解がある程度明示できる等,解析が十分にやり易いと思われる場合に対象を絞っている。 問題の性質上,物体内に二つの介在物がある場合に,その二つの介在物の距離が安定性評価に与える影響について調べることは大変重要であると思われる。何故なら,これは物体内の介在物の個数を推定することの難しさを示す一つの指標となり得るからである。そこで昨年度に引き続き,二つの介在物の距離が安定性評価に与える影響について解析している。物体や介在物の形については,まずは円板に十分近いものを考えている。解析には昨年度まで取り組んでいた問題と同様,Nagayasu-Uhlmann-Wang [NUW]にある線型化の方法を使っている。又,逆問題の解析にはしばしば特別な形をした解が有用となるが,Li-Vogeliusの論文内にある手法を用いることである解表示を得ることができた。後はこの解表示を生かして欲しい安定性評価を導きたいと考えている。 尚,この問題の場合,介在物同士の距離,二つの介在物の大きさ等,介在物に関する情報は複数あるが,まずは介在物同士の距離に注目して解析している。介在物同士の距離が十分近いと,介在物が二つある,という情報が伝わりにくくなるはずなので,安定性評価に現れる定数がその距離にどのように依存するかを調べることで,この性質を確認しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ目標としている安定性評価を得るまでには至っていないが,扱う式等の複雑さから解析には時間を要すためであり,やむを得ないものと思われる。 尚,昨年度末に補助事業期間延承認申請書を提出したが,これは家庭の事情(主に育児)により遠方への出張や宿泊を伴う出張が難しく, その結果, 研究打ち合わせや成果発表が当初予定していた程できなかったことが大きな理由である。 それ故,総合的に考えて研究の進展としては概ね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,物体内に二つの介在物がある場合に,その二つの介在物の距離が安定性評価に与える影響について解析していきたい。そのためには,今得られている特別な解表示を,二つの介在物の距離εの冪で展開したような表示が有用なのではないかと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた最も大きな理由は,初年度の使用額が少なかったことである。本年度使用予定分に関しては概ね本年度に使用している。初年度の使用額が少なかった理由は,既に以前報告した通りである。 次年度は,前年度や本年度よりも宿泊を伴う出張が可能であると思われるので,共同研究や研究発表のための出張費として助成金を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)