2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17558
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
吉井 健太郎 東京理科大学, 理学部, 助教 (00632449)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抽象発展方程式 / シュレディンガー発展方程式 / 一般コーシー問題 / 双曲型制御問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
シュレディンガー発展方程式を含む多くの時間発展を伴う偏微分方程式は, 発展方程式と総称され, コーシー条件と呼ばれる条件と組み合わせた, コーシー問題の形で考察されることがほとんどであり, それらの抽象化である抽象発展方程式も同様である. 一方で既存のコーシー条件を含む一般コーシー条件と放物型発展方程式を組み合わせた一般コーシー問題の解析についてはいくつかの成果が既に知られており, 年齢を考慮した人口変動モデルなどへの応用も考察されている. 本年度はモデナ・レッジョ・エミリア大学のマラグッティ教授との共同研究を行い, 双曲型発展方程式の一般コーシー問題に対する理論と, それを用いたある種の制御問題に関する結果を得ることができた. 特に制御問題については既存の放物型発展方程式に対するもので課せられていた応用を制限する条件のいくつかが放物型特有のものであり, 双曲型においては不要であることも明らかにすることができた. またそれら成果を国内外の複数の研究集会において報告し今後の研究に向けた知見を得ることができた. これらは汎用性の高い抽象論の構築にむけた重要な成果と言えだけでなく, その後の非線形偏微分方程式への展開も期待できるものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度, 研究代表者は複数の要因から海外での長期研究が可能となったため, 海外研究者との共同研究を優先的に行った. そのため, 次年度以降に予定していた非線形問題への応用や, 当初予定していなかった制御問題に対する理論の展開などがあり, 予定以上に研究の広がりを得ることができた. これらの点については当初の計画以上に進展したと言える. 一方で当初予定していた非正規形双曲型発展方程式に対する抽象論の構築については, 十分な成果を得たとは言えず, 時間依存ユニタリー変換との関連についても新たな知見を得られていない. これらの点についてはやや遅れていると言える. 以上の観点を総合的にかんがみて, 本研究の現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画通り時間依存ユニタリー変換の抽象化と, 双曲型発展方程式の抽象理論の構築を目指す. 特に双曲型発展方程式の重要な応用例である線形シュレディンガー発展方程式の研究においては, 所謂主要項と摂動項の区分をどのように統一的に扱うかが抽象論の肝要な部分となる. いくつかの具体的な主要項とそれに付随して決定される摂動項については古くから結果が知られていたが近年リパルシブ・ハミルトニアンと呼ばれる形の主要項に関する研究が活発になっており, それら具体例を踏まえることで抽象論への新たな知見を得ることができると期待している.
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Causes of Carryover |
本研究について多くの研究者の興味を得ることができ, 当初予定よりも講演の機会を多く得ることができた. また, それに関連し旅費が膨らむことが年度途中から予測できたため, 物品費を調整した. 差額については十分に誤差の範囲内であると考える.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
差額分については高額とは言えず, 誤差の範囲であるからして, 次年度のその他に計上する.
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Research Products
(6 results)