2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17562
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
天羽 隆史 立命館大学, 理工学部, 助教 (10737539)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 双対確率流 / 離散時間確率流 / 局所時間 / 伊藤の公式 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤堀・渡辺(2002)の研究により、反射壁を持つ一次元確率微分方程式と、吸収壁を持つ一次元確率微分方程式の間には確率流を基にする双対性があることが知られている。これはMarkov過程の一般論で知られているSiegmund双対を道ごとに実現したものとも言える。今回の結城氏(立命館大学)、田口氏(立命館大学)との共同研究により、確率流を近似する離散確率流が与えられたときに、その収束レートがどのように対応する双対流の収束を記述するのかを、弱収束・強収束の両方の観点から明らかにすることができた。特に、これはGobet(2000)の結果を用いると、Gobetが用いた吸収壁を持つ確率流のEuler-丸山近似から、自動的に反射壁を持つ確率流の近似と、その収束レートが得られることを意味する。 また、琉氏(立命館大学)との共同研究により、一次元対称拡散過程に対する局所時間の空間変数に関するHolder連続性とその(最良と思われる)指数を得ることができた。局所時間のHolder連続性はTrotter(1958)の研究を初めとして様々な文脈で研究されているが、我々はMeyer-渡辺空間の位相に関する結果であり、この副産物として、対応する熱核を時間積分した量の空間変数に関するHolder連続性とその(最良と思われる)指数が得られることを意味する。さらに、現在は伊藤の公式を超関数の枠組みで定式化しようと試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Loop空間上の変数変換公式の研究において、Le Janの研究で示唆されたDynkinの同型定理をloop measureの文脈で理解する、というものがある。Dynkinの同型定理はもともと背後に何か隠れているような、ミステリアスな部分が付き纏っていたものであるが、Le Janの研究によってこの状況が少しクリアになった。とはいえ、依然としてこの``同型"という言葉は普通の数学における同型として理解できるものではない。きちんと二つの空間の間の同型という文脈で理解するためには、局所時間のさらに深い理解が必要になると考えられる。この意味で、上での局所時間の研究は研究目標に貢献するものであると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(i)Dynkinの同型定理を、loop空間の上でのTsirelsonの意味でのnoise同型として理解できないか調べてみる。(ii)Malliavinのcanonic diffusionとは、単位円周の向きを保つ微分同相群`上の’Brown運動にあたるものである。一方で共形溶接問題の解は無分散戸田階層を満たすことがTeoによって知られている。この手法を使うことで、canonic diffusionに対する溶接問題の解 ( f(t,z), g(t,z) ) を無分散戸田階層のtau-関数を用いて表し、対応するLoewner-Kufarev方程式の駆動関数をもtau-関数で表せるか研究する。さらに、fがKPZのような方程式を満たすかどうかを調べる。また、この描像をSato Grassmannに埋め込んだときに、canonic diffusionはどのような確率微分方程式を満たすかを調べる。
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Causes of Carryover |
本年度の出張はたくさんではなく、また出張場所もそう遠くなかったので研究費を節約できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はイギリスとアメリカに三ヶ月ずつ外留する予定なので、その旅費に充てるつもりでいる。
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Research Products
(4 results)