2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17574
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三竹 大寿 広島大学, 工学研究院, 准教授 (90631979)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 粘性ハミルトン・ヤコビ方程式 / ディスカウント近似 / 選択問題 / 結晶成長 / 漸近解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,Hamilton-Jacobi-Bellman (HJB)方程式のディスカウント近似に関する選択問題,結晶成長をモデルとした方程式,平均曲率流の擬似3Dモデルに対して,数学の基礎研究を進めた.その結果,以下の成果を得た. 研究1.HJB方程式の選択問題は,近年,偏微分方程式および力学系の研究課題として注目を浴びている重要な問題である.本年度では,凸性を仮定した完全非線形型のHJB方程式と一階非凸型HJB方程式に対して,デイスカウント率をゼロにするときの解の漸近挙動に関する決定的な結果を与えることに成功した.非凸型な場合に関しては,部分的な解決である.研究2.平成27年度に始めた結晶成長をモデルとした方程式の解の成長速度に関する漸近解析が進展した.研究3.曲面の平均曲率流に対して,多層的界面方程式を導出して,擬似3Dモデルを導入した.この方程式系に対して基礎解析を始めた. 研究実施計画通り,平成28年6月に京都の数理解析研究所で開催された研究集会,平成28年7月にアメリカ,フロリダ,平成29年1月にフランス,ボルドーで開催された研究集会で研究発表をし,その後に参加者と討論することで研究の進展に努めた.また,平成28年7月にLawrence C. Evans氏(カリフォルニア大学バークレー校),平成28年10年にNam Q. Le氏(インディア大学)を招聘,新たな研究の方向性の模索に努めた.さらに,定期的に開催をしている広島大学数理解析セミナーに講演者を依頼して,最新の偏微分方程式理論やその周辺に関する最新情報を収集することに努めた.また,国内においても,研究実施計画に記述した研究集会に予定通り参加し,研究発表を行った.研究集会の参加者と生産的な討論を行うことができ,且つ,最新の情報を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に,弱KAM理論の発展として確率Mather測度を導入して,そのことを退化粘性ハミルトン・ヤコビ方程式のディスカウント近似の選択問題の解決に役立てた.このことを契機として,平成28年度は,凸性を仮定した完全非線形型ハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式に対して,一般化されたMather測度を定義して,このことと双対原理を利用することで,同方程式のディスカウント近似の選択問題を解決することに成功した.この結果は,完成度が高く,当初計画していた以上の結果である. さらに,応用上も重要な結晶成長をモデルとした非線形偏微分方程式の解の成長速度に関して,その漸近解析を進展することができた.これらの結果は,本年度の計画よりも期待以上に得られたと自己評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画において未解決である部分や,その自然な延長について着実に研究を進める.具体的には,ハミルトン・ヤコビ方程式のディスカウント近似に対する収束率について解析したい.結晶成長をモデルとした方程式に関して,その解の成長速度に関する更なる理解を目指す.また,平均曲率流の擬似3Dモデルに関する解析を進展させる.
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Causes of Carryover |
平成29年度に国際研究会を開催する計画で,平成28年度の予算の一部をそのために取り置いた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に国際研究会を開催する計画である.
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Research Products
(17 results)