2015 Fiscal Year Research-status Report
臨界Hardyの不等式と対数型特異性を伴う偏微分方程式への応用
Project/Area Number |
15K17575
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
猪奥 倫左 愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (50624607)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | Hardyの不等式 / スケール不変性 / 対数型特異性 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨界Hardyの不等式の精密化と,半線形熱方程式が持つ可解性について研究を進め,以下の成果を得た. 対数型特異性を伴う,境界からの距離関数を重みに持つ臨界Hardyの不等式について,高階微分が持つ特異性消去効果を明示的に表し,さらに指数を一般化することでSobolev-Hardy型の不等式を証明した. 一般の非線形項を持つ半線形熱方程式の可解性を,近似的スケール不変性に着目することで非有界な初期値に対して分類した.また,これを用いて,対数型の特異性(指数型の非線形性)を持つ問題に対する明示的な可積分性の閾値を与えた. 臨界Hardyの不等式の重み関数と微分項が満たす直交条件を精密化し,特別な場合において不等式は等式の形で表現出来ることを証明した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた不等式はいずれも対数型特異性の制御に関連する.また,一般の非線形項を持つ偏微分方程式に対し,近似的スケール不変性の概念を用いてモデルケースと同様の可解性の分類に成功した.対数型特異性を伴う問題についても,この一般論は適用可能である.現状ではポテンシャル項を含む偏微分方程式を含む理論にはなっていないが,将来的にはこれを含む形に拡張できる可能性がある.
|
Strategy for Future Research Activity |
一般の非線形項を持つ半線形熱方程式の可解性は,方程式が持つ近似的スケール不変性を軸に分類されることは既に得た.今後はポテンシャル項を持つ偏微分方程式が同様の近似的スケール不変性を持つかどうかを研究し,発見されればそれを用いて対数型特異性を伴う偏微分方程式になんらかの共通構造が無いかを見出す.また,臨界不等式の対数型特異性制御についても並行して取り組む.具体的には分数階微分作用素やDirac作用素への拡張を考察し,特に不変構造がもたらす不等式の自然な形状を決定しその最良性を得ることを目指す.
|