2015 Fiscal Year Research-status Report
非線形双曲型偏微分方程式の解の特異性伝播に関する研究
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15K17576
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
伊藤 真吾 北里大学, 一般教育部, 准教授 (40548145)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 波面集合 / 波束変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、波束変換を用いて波面集合を特徴付け、その特徴付けを利用して双曲型偏微分方程式の解の波面集合の伝播を解析することが目的である。 本年度は、加藤圭一氏(東京理科大学)および小林政晴氏(北海道大学)との共同研究により、波束変換を用いて通常の波面集合およびソボレフ型波面集合の特徴付けを行った。詳細は以下のとおりである。 1.波束変換を用いた波面集合の特徴付けの研究は、G.B. Folland(1989)に始まり、大鍛治(2001)でその改良が与えられているが、本研究ではさらなる改良を与えた。具体的には、波束変換における窓関数に仮定されていた条件を取り去り、窓関数が恒等的に0でない急減少関数でありさえすれば、Follandや大鍛冶らと同様の特徴付けが可能であることを示した。 2.ソボレフ型波面集合の波束変換に特徴付けを行った。この方向の研究は、P. G\'erard(1990)において、窓関数をガウス関数に限定した場合に、相空間上の点がソボレフ型波面集合に属するための必要十分条件が波束変換を用いて与えられている。また、大鍛冶(2001)においては、積分が0でない急減少関数を窓関数として、相空間上の点がソボレフ型波面集合に属するための必要条件および十分条件を与えている。本研究ではそれらの先行結果を改良し、恒等的に0でない急減少関数を窓関数として、相空間上の点がソボレフ型波面集合に属するための必要十分条件を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回得られた波面集合の特徴付けは、非線形双曲型偏微分方程式の特異性伝播への応用が期待できる形であることから、おおむね本研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、零条件を満たす多次元半線形波動方程式系に対するソボレフ型波面集合の伝播を考察する。この研究については、2008年に1次元の場合の結果を得ているが、ここでの手法は多次元に適用しにくいものであったため、多次元の問題は未解決である。今回得られた波面集合の特徴付けを用いて多次元の問題に取り組む予定である。そのために、引き続き、東京理科大学の加藤圭一氏、北海道大学の小林政晴氏との共同研究を行っていく。また、調和解析および偏微分方程式に関する研究集会に積極的に参加し、必要な情報を収集していく。
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Causes of Carryover |
必要な資料(書籍)の選別が終わらず、図書の購入を行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度、28年度分として申請した図書費を適切に使用する。また、北海道大学の小林政晴氏との共同研究のため、および、京都大学数理解析研究所で開催される超局所解析や偏微分方程式に関する研究集会へ参加し、情報収集を行うための旅費に使用する。
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Research Products
(1 results)