2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mathematical analysis of Keller-Segel-fluid systems
Project/Area Number |
15K17578
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石田 祥子 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (60712057)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 走化性方程式 / 癌浸潤モデル / 間接的走化性方程式 / 大域可解性 / 解の有界性 / 解の安定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
[具体的内容]本課題はケラー・シーゲル系と呼ばれる、生物の走化性 (化学物質の濃度勾配に沿って生物が特定の方向に移動する性質)を記述する数理モデルの基礎解析を研究対象としている。2022年度にまとめた解の安定化に関する研究の発展として、放物楕円型ケラー・シーゲル系に対する解の安定化(Archivum Mathematicum, Vol.59 (2023), No.2, 181--189)と、2つの未知関数に依存する退化型拡散項をもつ癌浸潤モデルに対する解の安定化(Discrete and Continuous Dynamical Systems-Series B (2022))について報告した。これらは横田智巳氏 (東京理科大学)との共同研究である。次に、間接的走化性方程式に対する解析を進めた。線形拡散の場合には、藤江-仙葉(2019)により空間4次元で時間大域解と有限時間爆発解が存在することが分かっている。退化型拡散の場合には、Nを領域の次元として拡散の強さmと非線形項の強さaに関する条件a<m+4/Nが大域可解性の臨界であると予想されていた。我々の研究では最大正則性原理やソボレフの埋め込み定理を用いる方法によりこの予想を肯定的に解決した。この証明は臨界条件 (a=m+4/N)においても適用でき、初期値の小ささを仮定することで時間大域的に解が存在することを示した。この研究成果を癌浸潤モデルに対して適用したものを横田智巳氏 (東京理科大学)との共同研究として国際論文誌に投稿中である([1])。 [意義]基本的かつ古典的ケラー・シーゲル系は、1970年に導出されたモデルをその本質を失わずに単純化したものである。間接的走化性方程式は提唱された系に近い形をしているため、[1]で得られた可解性や解の諸性質は今後の走化性方程式の研究に役立つと期待している。
|