2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17580
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古場 一 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (80707729)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 流れ / 時間発展曲面 / 多様体 / 曲率 / 支配方程式の導出 / エネルギー / 非圧縮性流体 / 圧縮性流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、時間発展する曲面上における流体の流れを支配する方程式を現象かつ理論的な観点から考察し、時間発展する曲面上での流体の流れがどのような支配のもとで流動し、その流れがどのように変化していくかを数理的手法によって明らかにすることである。
平成27年度は、時間発展する曲面上における流体の流れを支配する方程式の導出を行った。三次元ユークリッド空間内において、曲面の形状(曲率)が時間変化に伴って変化する二次曲面(時間発展する曲面)を考え、その曲面上での流体の流れを考察した。曲面変化にともなう曲面の動き(速さ)と曲面上の流体の流れ(速さ)を合わせた合成の速さに着目し、エネルギーの観点から、時間発展する曲面上の流体方程式の導出を行った。また、流体を非圧縮性流体と圧縮性流体に分類し、エネルギーの観点からそれぞれの流れが支配されるべき方程式の導出も行った。研究の成果として、曲面変化の変分を考える場合と曲面上の流体の流れの変分を考える場合とでは、曲面上の流れが支配されるべき方程式が違うということが観察された。これは、流れ場の接方向と法線方向とで支配されるべき方程式が違うということを意味する。つまり、流体の流れだけでなく曲面の動きにも制限がかかるということである。また、時間発展する曲面上における非圧縮性流体と圧縮性流体とでは、流体の圧力の役割が違うことも確認できた。この研究成果により、動く曲面上(回転や並進運動する曲面上)だけでなく一般的な時間発展する曲面上における流体の流れをとらえることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題はおおむね順調に進展していると思われる。なぜなら、時間発展する曲面上における流体の流れを支配する方程式を数理的手法を用いて導出することができたからである。また、時間発展する曲面上の非圧縮性流体と圧縮性流体の圧力の役割の違いも理論的に明らかになり、時間発展する曲面上における流体の流れの解明に一歩近づいたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究で、外力、重力や熱の影響を考慮した時間発展する曲面上の流体方程式の導出を試みる。曲面上の流体の持つ熱エネルギーやエントロピーに着目し、外力や熱の影響を考慮した流体の流れを研究していく。具体的には、熱力学の基本法則を時間発展する曲面上でも適応できるように拡張し、その法則の理論的な妥当性を検討する。その後、曲面上の流体の流れと熱の伝わりを支配する方程式の導出を試みる。研究が順調に進めば、導出した時間発展する曲面上の流体方程式の解の存在性や性質を調査する。
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Research Products
(6 results)