2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K17581
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹田 寛志 福岡工業大学, 工学部, 准教授 (10589237)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高次漸近展開 / 平滑化効果 / 強消散項 |
Outline of Annual Research Achievements |
消散項を持つ非線形偏微分方程式の解の性質についての研究を進め, 以下の研究成果が得られた.
1. 昨年度までに半線形消散型波動方程式の高次漸近展開に関しては, 非線形項のべきと初期値の空間遠方での減衰に応じて熱核による展開公式が得られていた. これに対して, 大阪府立大学の川上竜樹氏との共同研究で, 初期値の空間遠方での減衰のみに着目した非線形近似による高次漸近展開公式を導出した. この結果によって, 空間が1次元から3次元までであれば, 初期値の空間遠方での大きさに応じて小さい大域解の展開できる回数が決定され, その時間大域挙動は完全に理解できるようになった.この成果は線形基本解の重み付き評価を見直してこれまでの研究結果に適用したことで得られた.
2. 強消散項を含む波動方程式は, 近年, 解の漸近挙動のみならず解の平滑化効果とともに注目を集めている. 広島大学の池畠良氏との共同研究で,弱消散項と強消散項をともに含む波動方程式の解の挙動及び解の平滑化効果を明らかにした. 特に, 解の時間微分にその平滑化効果が強く現れることが分かった. またこの成果を用いて空間低次元における非線形問題の時間大域解の存在及び非存在に関する臨界指数を同定した. この結果の意義は, 強消散項による平滑化効果を半線形問題においても見出せたことにもある. これに伴って, 一見特殊の思える初期値の選び方にも意味付けが得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の出版に及んだ研究成果の他, 構造的消散項を持つ波動方程式の解の大域挙動や平滑化効果, またその応用として非線形問題についても小さい時間大域解の性質が明らかにできた. 今後はこの成果の取りまとめやさらなる発展が見込まれる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの研究成果を基にして, さらに研究計画を実行していく. 国内外の研究者と研究連絡を密に行い, 最先端の研究動向の情報収集も重点的に行う.
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Causes of Carryover |
長期海外滞在のため, 一部の物品購入や国内出張を見送ったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を遂行するための最新の機器や研究者招聘及び成果発表の機会に充てる.
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