2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17583
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳澤 大地 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (70611292)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 数理工学 / モデル化 / 順序 / 群集運動 / 待ち行列 |
Outline of Annual Research Achievements |
【1. 順序の入れ替わりを評価する指標の開発】退出順序やサービス順序を定量的かつ理論的に扱うために、先行研究の成果を参考にして、順序の入れ替わりを評価する新たな指標を考案した。新しい指標はゼロのときに順序の入れ替わりが全くないことを表し、大きな値のときに順序の入れ替わりが頻繁に起こっていることを示す指標である。これは、人が感じるストレスを定量的に評価する際の指標になると考えられる。 【2. 部分退出の実験】部屋の中にいる被験者25人のうち9人だけが退出する実験を行い、どの場所にいる人が退出すると早く退出することができるかを調べた。その結果、退出順序は出口からの距離によってほぼ決まり、退出までに他の人とすれ違う回数が総退出時間に大きな影響を及ぼしていることが分かった。 【3. 流入実験】被験者が部屋に順に入って行き、どの場所に留まるか調べる実験を行った。入口が壁の中心にあるケースでは、最初の方に部屋に入った人は部屋の角に留まり、その後に入った人達は壁際に留まるという入室順序と留まる場所の関係が明らかになった。また、人のモチベーションや入口の位置を変えると、留まる場所が変化することも分かった。 【4. すれ違いの実験】二人の人が狭い通路ですれ違う際に、どのように体を回転しているかを調べた。今回の実験では、体の回転を始めるタイミングは被験者によって大きな差はなかった。また、人を楕円で表し幾何的な計算を行うことにより、実験における体の回転角度を定量的に説明することができた。 【5. 避ける向きの自発的な統一】時計回りと反時計回りにサーキットを周回している複数の人がいるとき、右と左どちらに避けるかが、時間とともにどのように変化していくかをシミュレーションによって調べた。その結果、システムのサイズが大きいと避け方が統一されにくいことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【1. 順序の入れ替わりを評価する指標の開発】では、計算が行い易く直観的に分かり易い指標を開発することができた。【2. 部分退出の実験】の成果は国際会議への投稿を行い、【3. 流入実験】・【4. すれ違いの実験】・【5. 避ける向きの統一】は現在論文を執筆中である。以上から、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、待ち行列におけるサービス順序の研究について、特に力を入れて進める予定である。また、一年間研究を行った結果、単純な退出や待ち行列以外にも、順序が大きな影響を及ぼす状況が多々あることが分かったので、研究実施計画をベースに、可能であれば、そのような群集運動についても研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は大学における研究活動が中心で、海外出張等が少なったため、支出が予定より少なめとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は研究成果発表のため多くの国際会議に参加するため、海外出張が増える予定である。 その旅費として使用予定である。
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Research Products
(7 results)