2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17595
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
物部 治徳 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任准教授 (20635809)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 進行波解 / 平均曲率流方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
微分方程式で記述される曲面の運動方程式を解析する場合、その多くは局所的な情報に支配されていることから、位相変化は頻繁にに生じると考えられる。実際、曲線短縮方程式など多くの界面方程式でそれらの現象は確認されている。一方で、近年では細胞運動のような生体膜の運動を微分方程式で記述するとき、微分方程式によって記述される曲面の運動方程式が出現することがある。実は、細胞運動の現象を考えると、位相変化しないものが好ましい場合が多々ある。従って、これらの数理モデルは現象を局所的な時間で記述できていても、大域的な運動を考察するには十分でないことが予想される。このことから、界面方程式の解の位相変化の有無を調べることは重要になる。本研究では曲面の運動方程式と位相変化の関係に着目して、位相変化が生じる条件は何か?という問題に取り組むことにした。当初の研究計画を進めるうちに、最初の方針では困難になることがわかってきたので、研究計画を少し変更し、まずは外力の効果が曲面の位相変化にどのような影響を与えるのか、調べることにした。一般の場合を扱うのは難しいので、まずは位相変化しない特殊解である進行波解の性質を調べることにした。これまでは、外力が曲面の法線ベクトルに依存する平均曲率流方程式を扱い、空間2次元におけるJordan曲線で構成される進行波解の存在・非存在を調べた。その結果、存在すれば全ての進行波解は凸形状になること、また外力が正値を取れば十分であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究方針を少し修正して、外力項付きの平均曲率流方程式を扱い、外力が界面の運動にどのような影響を与えるのかを考察した。空間2次元の場合は、凸性や必要十分条件など、ある程度の結果を得ることが出来た。空間3次元の場合は現在調べており、今のところ外力に対称性がある場合は2次元同様、曲面は凸形状になることがおおよそわかった。しかしながら、まだ細かな条件はわかっておらず部分的な結果に止まっている。非凸形状の場合の条件に関してはまだわかっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、空間3次元における進行波解が存在するための外力の条件をより明らかにする。現在のところ、対称性による性質から偏微分方程式の問題は常微分方程式の問題に帰着することができるが、一般の場合には適用できないため、他の手法を考える必要がある。また、非凸形状を持つ進行波解が存在するための外力の条件も調べる。今まで扱った外力の形は、法線ベクトルのみに依存しており、進行波解が存在すればそれらは全て凸になったので、外力を空間変数などに依存させる必要がある。まずは空間変数を一つだけ依存させて考察を行い、徐々にその考えを拡張していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた計画で研究を進めるのが困難であることがわかったので、計画計画を少し変更する必要があった。このことから、当初計画していたような十分な結果が得られなかったため、次年度も引き続き研究を行う。なお、研究費の使用計画については、すでに関連する文献は集めたので、本年度は、国内の研究者との情報交換や議論をするために、出張費等で使用する。
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Research Products
(5 results)